定義
幹細胞は、未分化状態を保つ自己複製能と、一つ以上の成熟細胞系譜へ分化する能力を併せ持つ細胞である。分化能は全能性、多能性、多分化能、寡分化能、単分化能に整理され、対称分裂と非対称分裂の使い分けで幹細胞数と分化細胞供給を調節する。
イメージ
種を残しながら苗を出す育苗床にたとえられる。すべての細胞になれる「種」に近いものから、特定組織の限られた細胞だけを作る地域専門の幹細胞まで段階がある。
仕組み
幹細胞ニッチは細胞接着、細胞外基質、Wnt、Notch、Hedgehog、BMPなどの局所シグナルを通じて静止、増殖、分化を調節する。非対称分裂では一方が幹細胞性を維持し、他方が前駆細胞へ進む。対称自己複製は幹細胞プールを増やし、対称分化は需要時に細胞供給を優先する。多能性はOCT4、SOX2、NANOGなどの転写ネットワークとエピジェネティック状態で維持される。組織損傷時には休止幹細胞が活性化されるが、慢性炎症や加齢はニッチとクローン構成を変える。
例
腸陰窩幹細胞は短寿命の上皮細胞を継続的に補充し、造血幹細胞は多系統の血球を産生する。初期胚の細胞と成人組織幹細胞では分化能の範囲が大きく異なる。