定義
全身のアンモニア処理とは、組織で生じたNH₃/NH₄⁺を遊離したまま蓄積させず、グルタミンやアラニンとして肝臓と腎臓へ運び、肝臓では尿素へ、腎臓ではアンモニウムイオンとして尿中へ排泄する臓器間の仕組みである。アンモニアは酸塩基平衡に必要だが、高濃度では特に脳のアストロサイト代謝、神経伝達、浸透圧を障害する。
イメージ
窒素ごみを各細胞がその場で捨てるのではなく、安全な袋へ詰めて処理場へ運ぶイメージである。肝臓は毒性の低い尿素へ加工し、腎臓は尿中へ排泄する。処理能力を超えるとアンモニアが脳へ入り、アストロサイトが抱え込んで腫脹と神経回路障害を起こす。
仕組み
アミノ酸の窒素はアミノ基転移反応によってグルタミン酸へ集められ、グルタミン酸脱水素酵素やグルタミナーゼによってアンモニウムイオンが放出される。末梢組織ではグルタミン合成酵素がアンモニアを固定し、筋ではアミノ基をピルビン酸へ移してアラニンとして肝臓へ運ぶ。肝ミトコンドリアではCPS1がアンモニウムイオンとHCO₃⁻からカルバモイルリン酸を作り、尿素回路が二つの窒素を尿素へ封入する。門脈周囲肝細胞で処理しきれないアンモニアは、中心静脈周囲肝細胞のグルタミン合成酵素が捕捉する。腎臓はグルタミンからアンモニウムイオンを産生し、酸排泄へ利用する。脳ではアストロサイトがグルタミン合成酵素でアンモニアを固定するが、グルタミン蓄積による浸透圧負荷、α-ケトグルタル酸消費、神経伝達物質循環の乱れが生じ得る。
例
肝臓の尿素合成能が低下すると、腸管由来アンモニアと筋代謝由来窒素の除去が低下する。筋は一時的にグルタミン合成によって緩衝役となるが、異化亢進で筋量が減ると補助能力も低下する。腎臓は酸塩基状態に応じてアンモニウム排泄を増減させる。