定義
テロメアは、線状染色体末端の反復DNAと、それに結合するシェルテリン複合体からなる保護構造である。DNAポリメラーゼは遅延鎖の最末端を完全には複製できないため、通常は細胞分裂ごとにテロメアが短縮する。テロメラーゼは内在RNAを鋳型とする逆転写酵素で、染色体3'末端を伸長し、生殖細胞、幹細胞、多くの腫瘍細胞の長期増殖を支える。
イメージ
靴ひもの先端を保護する覆いのように、テロメアは染色体末端がほつれたり、DNA切断として誤って修復されたりするのを防ぐ。細胞分裂のたびに保護部分は少し短くなるが、テロメラーゼが働く細胞では反復配列を付け足して短縮を補える。
仕組み
テロメアDNAはGに富む反復配列を持ち、3'突出末端がTループを形成する。TRF1、TRF2、POT1などからなるシェルテリンは、ATM・ATRを介するDNA損傷応答や非相同末端結合を抑え、染色体末端同士の融合を防ぐ。遅延鎖では最後のRNAプライマーを除去した後の空隙を埋められず、先行鎖も末端処理を受けるため、分裂ごとに短縮が起こる。TERTとテロメラーゼRNAからなるテロメラーゼはGに富む鎖を伸長し、その後DNAポリメラーゼが相補鎖を合成する。テロメアが臨界的に短くなると、p53やp16経路を介して複製老化またはアポトーシスが起こる。チェックポイントを失った細胞が分裂を続けると、末端融合と切断が繰り返され、ゲノム不安定性が増す。
例
多くの体細胞ではテロメラーゼ活性が低く、反復分裂によってテロメアが短縮し、増殖停止へ向かう。造血幹細胞や生殖細胞では一定の活性が保たれる。腫瘍細胞ではTERTの再活性化や、テロメラーゼを使わない代替的テロメア延長によって、短縮限界を回避する。