定義
時定数τは、一次遅れ系が新しい定常値へどの速さで近づくかを示す量である。立ち上がりでは1τ後に最終変化量の約63%、減衰では初期値の約37%となり、約5τでほぼ定常値へ到達する。
イメージ
蛇口を開いても浴槽の水位は瞬時に最終値へ達しない。容器の大きさと流れにくさで応答の遅さが決まり、その代表時間が時定数である。小さいほど素早く、大きいほどゆっくり反応する。
仕組み
電気回路ではτ = R×Cで、抵抗Rまたは容量Cが大きいほど電圧変化が遅い。生体膜では膜抵抗と膜容量が局所電位の時間経過を規定する。薬物動態の一次消失ではτ = 1/kelで、半減期はt1/2 = 0.693τとなる。一般に「蓄えられる量÷流出能力」で時定数を考えると、異なる生理系を同じ枠組みで理解できる。ただし多コンパートメント系や非線形系では単一τで表せない。
例
膜時定数が大きいニューロンでは、短い入力が時間的に重なりやすく、時間的加重が起こりやすい。一方、時定数が小さいと膜電位は入力終了後すぐ基線へ戻る。