定義
腫瘍血管新生は、腫瘍細胞や間質細胞が血管新生促進因子を分泌し、既存血管の内皮細胞が活性化・遊走・増殖して新生血管を形成する現象である。腫瘍血管は正常血管に比べて走行が不規則で、壁構造や周皮細胞被覆が不十分なため、血流と透過性が不均一になりやすい。 腫瘍が小さい段階では既存血管からの拡散で生存できるが、増大に伴って血管新生促進因子が抑制因子を上回る状態へ移行する。
イメージ
都市が急拡大したため、設計図なしに道路や水道管を継ぎ足した状態に例えられる。管の本数は増えても、途切れや狭窄、漏れが多く、地域ごとの供給量は安定しない。
仕組み
腫瘍が拡大して酸素拡散距離を超えると、低酸素によりHIF-1αが安定化し、VEGFなどの血管新生因子が増える。VEGF刺激を強く受けた内皮細胞は先端細胞となって血管芽の進行方向を決め、その後方の茎細胞が増殖して管腔を伸ばす。Dll4–Notch経路は隣接細胞の先端細胞化を抑え、枝分かれを調整する。基底膜分解、内皮遊走、管腔形成、周皮細胞の動員を経て血管が成熟するが、腫瘍では促進刺激が持続するため成熟が不十分となる。血管漏出は間質圧を高め、薬物送達を妨げ、低酸素をさらに助長することがある。
例
抗VEGF療法は新生血管を減らすだけでなく、一時的に異常血管を正常に近い状態へ整え、血流や薬物到達を改善する可能性がある。一方、過度な血管抑制は低酸素を強めることもある。