定義
腫瘍の組織学的悪性度は、腫瘍細胞や組織構築が正常組織からどれほど逸脱し、どの程度増殖性・侵襲性が高いかを病理学的に評価した指標である。病期は、原発腫瘍の大きさと周囲浸潤、所属リンパ節転移、遠隔転移など、腫瘍が体内でどこまで進展しているかを示す。両者は関連することがあるが、同じ概念ではない。
イメージ
組織学的悪性度は腫瘍の『顔つきと勢い』、病期は『どこまで広がったか』と考える。顕微鏡で悪性度が高く見えても局所にとどまる腫瘍と、比較的分化していても遠隔転移している腫瘍では、評価と治療方針が異なる。
仕組み
組織学的悪性度の評価項目には、分化度、核異型、核分裂数、壊死、腫瘍組織の構築などがあり、臓器・腫瘍型ごとに専用の基準が定められる。病期は多くの固形腫瘍でTNM分類を基盤とし、Tは原発腫瘍、Nは所属リンパ節、Mは遠隔転移を表す。病期は手術適応・切除範囲、放射線療法、全身療法の必要性と予後へ強く関わり、組織学的悪性度は再発リスク、生物学的挙動、薬物感受性を補足する。血液腫瘍、中枢神経腫瘍、小児腫瘍などではTNMとは異なる分類体系が用いられる。
例
小さく局所に限局した高悪性度腫瘍は、病期は早くても再発リスクが高いことがある。一方、組織学的には低悪性度でも遠隔転移を伴えば病期は進行しており、局所治療だけでなく全身治療が必要になりやすい。