定義
小胞標的化は、出芽した輸送小胞が目的の細胞内小器官または細胞膜を識別して融合する過程である。Rab GTPaseと係留因子が初期認識を担い、小胞側v-SNAREと標的膜側t-SNAREが複合体を形成して二枚の膜を近接させ、膜融合を進める。
イメージ
宅配便が住所ラベルだけでなく、配送車の鍵と受取口の鍵が一致したときだけ荷物を渡す仕組みに似ている。小胞は細胞内を無差別に融合せず、複数段階の照合で誤配送を防ぐ。
仕組み
小胞はCOPII、COPI、クラスリンなどのコートタンパク質で出芽し、コートを外した後にRabタンパク質が特定の係留因子と結合する。続いてv-SNAREとt-SNAREが四本鎖束を形成して膜間距離を縮め、脂質二重層の融合孔を開く。融合後のcis-SNARE複合体はNSFとα-SNAPがATPを使って解離し再利用される。調節性分泌ではsynaptotagminなどのCa²⁺センサーがSNARE複合体へ作用し、刺激と融合を同期させる。Rab、SNARE、コートタンパク質の組合せが小胞交通の方向性と区画特異性を保証する。
例
神経終末で活動電位によりCa²⁺が流入すると、synaptotagminがCa²⁺を感知し、準備済み小胞のSNARE依存性融合を引き起こす。Golgi体から細胞膜へのタンパク質輸送でも同じ基本原理が使われる。