定義
分布容積は「Vd = 体内薬物量 / 血漿中薬物濃度」で定義される比例定数である。実在する解剖学的容積ではなく、血中濃度から体内量を推定する見かけの容積である。
イメージ
同じ量の色素を入れても、血液中に濃く残れば小さな容器へ入ったように見え、組織へ消えて血中が薄ければ巨大な容器へ入ったように見える。
仕組み
血管内に強く留まる大型・高蛋白結合薬はVdが血漿量に近く、細胞外液へ分布する親水性薬は細胞外液量に近づく。脂溶性が高く組織蛋白・脂肪へ強く結合する薬は血漿濃度が低くなり、Vdが総体液量を大きく超えることがある。負荷投与量は概算で「目標濃度 × Vd / F」と結び付く。浮腫・腹水は親水性薬のVdを増やし、肥満は脂溶性薬で影響が大きい。Vdは時間依存的に変わり、多コンパートメント薬では中央・定常状態・終末相のVdが異なる。
例
体内量100 mg、血漿濃度2 mg/LならVdは50 Lである。これは薬が実際に50 Lの液体へ均一に溶けたことを意味せず、広い組織移行を示す。