最終更新日: 2026年4月24日
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
MEN1(Wermer症候群)は、がん抑制遺伝子であるMEN1遺伝子の変異により生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患である。「副甲状腺」「下垂体」「膵・消化管」の3つの内分泌臓器に腫瘍が多発するのが特徴で、高カルシウム血症(副甲状腺機能亢進症)が初発症状となることが多い。
副甲状腺:高カルシウム血症による口渇、多尿、尿路結石、骨病変、消化性潰瘍。
下垂体:無月経、乳汁漏出、性欲低下、両耳側半盲、頭痛。
膵・消化管:難治性・多発性の消化性潰瘍(ガストリノーマ)、空腹時の低血糖発作・意識消失(インスリノーマ)。
初期評価
若年者での尿路結石、難治性胃潰瘍、または家族歴から強く疑う。
検査
血液検査で各ホルモン(インタクトPTH、高Ca、プロラクチン、ガストリン、インスリン等)の測定。局在診断として、頸部エコー・シンチ、頭部MRI、腹部造影CTや超音波内視鏡(EUS)。確定診断はMEN1遺伝子検査。
治療方針
根治的な遺伝子治療はないため、各腫瘍に対する個別の治療を行う。
副甲状腺機能亢進症には『副甲状腺亜全摘(または全摘+自家移植)』。プロラクチノーマには『ドパミン作動薬(カベルゴリンなど)』や経蝶形骨洞的腫瘍摘出術(Hardy手術)。膵内分泌腫瘍には外科的切除や、プロトンポンプ阻害薬(PPI:ガストリノーマに対して)を用いる。
病態
MEN1遺伝子(メニンをコード)の異常により、複数臓器で腫瘍抑制が効かなくなり、多発性に内分泌腫瘍を発症する。
試験・臨床での重要ポイント
国試やCBTでの最大のキーワードは『3つのP』の暗記である。
①『P』arathyroid(副甲状腺機能亢進症):ほぼ100%にみられ、高Ca血症(尿路結石など)をきたす。
②『P』ituitary(下垂体腺腫):プロラクチノーマ(乳汁漏出、無月経)が最も多い。視野狭窄(両耳側半盲)をきたすことも。
③『P』ancreas(膵・消化管内分泌腫瘍):ガストリノーマによる難治性の多発胃・十二指腸潰瘍(Zollinger-Ellison症候群)や、インスリノーマ(低血糖発作)が代表的。
覚え方・コツ
「MEN1(ワーマー症候群)は『3つのP』!首(副甲状腺)・頭(下垂体)・お腹(膵臓)の全部に腫瘍ができる。一番多いのは副甲状腺だから、まずは『カルシウムが高くて石ができる(尿路結石)』エピソードを探せ!胃潰瘍が治らない(ガストリノーマ)のも超定番の引っかけ!」
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原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺自体の腫瘍(腺腫など)により副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰分泌され、高カルシウム血症をきたす疾患である。高Ca血症の2大原因の一つであり、骨病変や尿路結石を特徴とする。
低カルシウム血症は、血清補正Ca濃度が8.5mg/dL未満の状態であり、神経や筋肉の興奮性が異常亢進し「テタニー(手足のしびれ、痙攣)」を引き起こす。Chvostek徴候やTrousseau徴候が特徴的で、心電図ではQT延長をきたす。
MEN2は、RETがん遺伝子の変異により生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患である。「甲状腺髄様癌」と「褐色細胞腫」を必須病変とし、周術期の致死的なクリーゼを防ぐため、甲状腺手術よりも「褐色細胞腫の治療を絶対に優先する」ことが最大の鉄則である。
高カルシウム血症は、血清補正Ca濃度が10.5mg/dL以上の状態。悪性腫瘍と原発性副甲状腺機能亢進症が2大原因であり、消化器症状や精神・神経症状をきたす。重症化すると「高カルシウムクリーゼ」として致死的になるため、早急な大量輸液とビスホスホネート投与が必要となる。