最終更新日: 2026年3月2日
アスクレピアで深掘りする1型糖尿病は、膵β細胞が破壊されてインスリン分泌が不足(枯渇)し、高血糖になる疾患である。(自己免疫性が多い)
小児〜若年に多いが、成人発症や緩徐進行(SPIDDM)もある。
重要なのは、口渇・多飲・多尿・体重減少などの高血糖症状と、糖尿病性ケトアシドーシス(DKA:意識障害・Kussmaul呼吸など)の赤旗を見逃さないこと。
対応はまず血糖・ケトン・酸塩基(pH/HCO3−)を評価し、DKAなら輸液+電解質補正+速効型インスリン持続静注を優先する。
口渇、多飲、多尿、体重減少、易疲労感
理由(短く):インスリン不足で糖が細胞に入れず血糖が上がり、尿に糖が出て(浸透圧利尿)脱水になるため。
皮膚・口腔の乾燥、頻脈、低血圧(脱水)
視力低下(高血糖の影響)、易感染
DKAの所見:悪心・嘔吐、腹痛、意識障害、Kussmaul呼吸(深く速い呼吸)、呼気アセトン臭、ショック
検査で赤旗:ケトン増加、動脈血pH低下(≤7.30)、HCO3−低下(≤18 mEq/L)
成人では「2型に見える」発症もあり、体型だけで決めつけると遅れる(自己抗体・Cペプチドで評価)
緩徐進行(SPIDDM):診断時にケトーシス/ケトアシドーシスがなく、すぐにインスリン必須とは限らないが、経過でインスリン分泌が低下して最終的にインスリン依存へ
口渇・多飲・多尿・体重減少などの高血糖症状が急に出た
小児〜若年の新規糖尿病、または成人でも急速に悪化
悪心/嘔吐、腹痛、過呼吸、意識障害がある(DKA疑い)
高浸透圧高血糖状態(HHS)
急性腹症、敗血症、薬剤性高血糖(ステロイド等)/免疫チェックポイント阻害薬関連の1型糖尿病様発症
血糖:高血糖の程度を把握
血中/尿中ケトン(できればβ-ヒドロキシ酪酸):ケトーシスの確認
血液ガス or 静脈血ガス+電解質(Na/K/Cl)+HCO3−:アシドーシス・電解質異常の把握
腎機能(Cr/BUN)、浸透圧、感染検索(発熱があれば)
1型の成因評価:膵島関連自己抗体(GAD、IA-2、IAA、ZnT8、ICAなど)
内因性インスリン分泌:Cペプチド低下(例:空腹時血清Cペプチド<0.6 ng/mLが“欠乏”の目安として記載)
発症様式の整理:急性発症/緩徐進行/劇症(劇症は血糖に比してHbA1cが相対的に低い、自己抗体は原則陰性とされる)
DKAの診断要素:高血糖(目安 250 mg/dL超)+ケトーシス+アシドーシス(pH≤7.30、HCO3−≤18)
意識障害、循環不全、重度電解質異常、嘔吐で内服不能 → 原則入院(多くは救急対応)
意識・呼吸・循環を評価し、DKAが疑われたら救急で治療開始(バイタル、尿量、心電図モニタ、採血を並行)
輸液:生理食塩水中心で脱水と電解質を補正
カリウム管理:輸液/インスリンでKが下がり得るので、血清Kを見て補充を調整(不整脈予防)
アシドーシス補正(重炭酸)は原則行わない(※ガイドで原則非推奨)
インスリン補充が必須(1型では不可欠)
DKAでは 速効型インスリンの少量持続静注
安定後:基礎(持効型)+追加(速効型)の多回注射、またはインスリンポンプ等で個別化
ここは「インスリンが使えない」状況は基本的に想定しづらい(アレルギー等は専門対応)。一次対応としてはインスリン投与経路や製剤を変えるが現実的。
誘因(感染、摂食不良、インスリン中断など)を是正
低血糖対策(自己血糖測定/CGM、補食、運動時調整)
長期:網膜症・腎症など合併症スクリーニング(定期検査)
シックデイルール(発熱・嘔吐時も“自己判断でインスリンを中止しない”)
低血糖時の対応、家族/学校/職場での支援
教育入院や糖尿病療養指導で自己管理スキルを固める
DKA治療では、インスリン開始後にKが急低下し得るため、K補正を含めた電解質管理を必ず並行する。
小児DKAではインスリンの初回ボーラス静注は脳浮腫リスクで推奨されない(施設プロトコルに従う)
「緩徐進行1型(SPIDDM):成人発症で緩徐に進行する自己免疫性糖尿病の一群(LADAなど近縁概念があり、定義は文献・指針で差がある)」