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高カルシウム血症は、血清補正Ca濃度が10.5mg/dL以上の状態。悪性腫瘍と原発性副甲状腺機能亢進症が2大原因であり、消化器症状や精神・神経症状をきたす。重症化すると「高カルシウムクリーゼ」として致死的になるため、早急な大量輸液とビスホスホネート投与が必要となる。
消化器症状:食欲不振、悪心・嘔吐、便秘、消化性潰瘍(ガストリン分泌亢進による)、急性膵炎。
精神神経症状:倦怠感、筋力低下、抑うつ、錯乱、重症例では昏睡。
腎症状:多尿(腎濃縮力低下による脱水)、口渇、尿路結石、腎機能障害。
心血管症状:心電図異常(QT短縮)。
初期評価:血清補正Ca>10.5mg/dL。体重減少、喫煙歴(肺扁平上皮癌など)、結石の既往などを確認。
検査:鑑別のために『インタクトPTH』を測定する。高値であれば原発性副甲状腺機能亢進症。低値〜抑制されていれば悪性腫瘍を疑い、『PTHrP』測定や全身の画像検索(CT、骨シンチなど)を行う。その他の原因としてサルコイドーシス(活性型ビタミンD上昇)、多発性骨髄腫、サイアザイド系利尿薬などがある。
高カルシウムクリーゼの緊急治療
①『生理食塩水の大量輸液』:脱水の補正と腎血流量の増加により、尿中へのCa排泄を強力に促す(最優先)。
②『ループ利尿薬(フロセミド)』:※十分な輸液による脱水補正後に行い、Caの腎排泄をさらに促進する。
③『ビスホスホネート製剤またはカルシトニン製剤の静注』:破骨細胞の働きを強力に抑え、骨からのCa放出を止める(効果発現に数日かかるため早期に投与する)。
慢性期:原因疾患(腫瘍切除、副甲状腺摘出など)の根本治療を行う。
病態
骨吸収の亢進(骨からのCa放出)、腸管からの吸収亢進、腎での排泄低下により生じる。
試験・臨床での重要ポイント
原因の約90%が『原発性副甲状腺機能亢進症』と『悪性腫瘍(骨転移、またはPTHrP産生腫瘍:扁平上皮癌などによる体液性高Ca血症[HHM])』である。
症状の英語の語呂合わせ『stones(尿路結石)、bones(骨痛)、abdominal groans(腹痛・便秘)、psychiatric moans(精神症状・意識障害)』が有名。心電図では低Caとは逆に『QT短縮』をきたす。
Ca値が14mg/dLを超えるような「クリーゼ」の治療手順が頻出であり、利尿薬を使う前に必ず『生理食塩水の大量輸液(細胞外液量の回復)』を真っ先に行うことが鉄則である。
覚え方・コツ
「高Ca血症の原因は『副甲状腺の暴走』か『ガン(骨転移かPTHrP)』のほぼ2択!石ができる(結石)、骨が痛む、お腹が張る(便秘・潰瘍)、頭がおかしくなる(意識障害)の4点セット。心電図は縮む(QT短縮)。意識不明のクリーゼを見たら、まずは『生食ドバドバ(大量輸液)』でオシッコを出させ、骨を固める薬(ビスホスホネート)を打て!」
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原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺自体の腫瘍(腺腫など)により副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰分泌され、高カルシウム血症をきたす疾患である。高Ca血症の2大原因の一つであり、骨病変や尿路結石を特徴とする。
低カルシウム血症は、血清補正Ca濃度が8.5mg/dL未満の状態であり、神経や筋肉の興奮性が異常亢進し「テタニー(手足のしびれ、痙攣)」を引き起こす。Chvostek徴候やTrousseau徴候が特徴的で、心電図ではQT延長をきたす。
MEN2は、RETがん遺伝子の変異により生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患である。「甲状腺髄様癌」と「褐色細胞腫」を必須病変とし、周術期の致死的なクリーゼを防ぐため、甲状腺手術よりも「褐色細胞腫の治療を絶対に優先する」ことが最大の鉄則である。
MEN1(Wermer症候群)は、がん抑制遺伝子であるMEN1遺伝子の変異により生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患である。「副甲状腺」「下垂体」「膵・消化管」の3つの内分泌臓器に腫瘍が多発するのが特徴で、高カルシウム血症(副甲状腺機能亢進症)が初発症状となることが多い。