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MEN2は、RETがん遺伝子の変異により生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患である。「甲状腺髄様癌」と「褐色細胞腫」を必須病変とし、周術期の致死的なクリーゼを防ぐため、甲状腺手術よりも「褐色細胞腫の治療を絶対に優先する」ことが最大の鉄則である。
甲状腺髄様癌:前頸部の腫瘤、下痢(カルシトニン等による消化管蠕動亢進)。
褐色細胞腫:高血圧、動悸、発汗過多、頭痛(カテコラミン症状)。
副甲状腺機能亢進症(2A型):高カルシウム血症症状。
MEN2Bの特異症状:口唇・舌の多発結節(粘膜神経腫)、マルファン様体型。
血液・尿検査:カルシトニン、CEA(甲状腺髄様癌)、尿中・血中カテコラミンやメタネフリン(褐色細胞腫)、インタクトPTH、Ca(副甲状腺)。
画像検査:頸部エコー、腹部CT、123I-MIBGシンチグラフィ(褐色細胞腫の局在)。
確定診断:『RET遺伝子検査』。家族歴がある場合は血縁者のスクリーニングにも用いられる。
治療の優先順位(最重要):
必ず『褐色細胞腫の治療を先行』する。α1遮断薬(ドキサゾシン等)で十分な血圧コントロールと循環血液量の是正を行った後、副腎摘出術を行う。
甲状腺髄様癌に対して:褐色細胞腫の治療後に『甲状腺全摘出術+リンパ節郭清』を行う(髄様癌は放射性ヨウ素内用療法が無効なため、外科的切除が基本)。RET変異が判明している血縁者に対して、発症前に予防的甲状腺全摘が行われることもある。
病態
RET(レット)がん遺伝子の活性化型変異により、神経堤由来の細胞が異常増殖する。MEN2A(Sipple症候群)とMEN2Bに分類される。
試験・臨床での重要ポイント
各型の合併症が頻出。
『MEN2A(Sipple症候群)』:①甲状腺髄様癌(ほぼ100%、カルシトニン上昇)、②褐色細胞腫(カテコラミン上昇)、③副甲状腺機能亢進症(高Ca血症)。
『MEN2B』:①甲状腺髄様癌、②褐色細胞腫に加えて、③粘膜神経腫(口唇や舌のブツブツ)と④マルファン様体型(長身痩躯、クモ状指)を伴う。※2Bには副甲状腺病変はない。
国試で最も問われる絶対的禁忌・鉄則は、『褐色細胞腫を放置したまま甲状腺などの手術をしてはならない(麻酔等のストレスでカテコラミンが爆発的に放出され、致死的な高血圧クリーゼを起こすため)』ということ。
覚え方・コツ
「MEN2(シップル症候群)は『髄様(甲状腺)・褐色(副腎)・副甲状腺(2Aのみ)』のセット!RET遺伝子の変異。何よりも大事なのは手術の順番!カテコラミンの爆弾(褐色細胞腫)を抱えたまま首(甲状腺)を切ると、血圧が爆発して死ぬ!必ず『α遮断薬を飲ませてから褐色細胞腫(副腎)を先に取る』!」
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原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺自体の腫瘍(腺腫など)により副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰分泌され、高カルシウム血症をきたす疾患である。高Ca血症の2大原因の一つであり、骨病変や尿路結石を特徴とする。
低カルシウム血症は、血清補正Ca濃度が8.5mg/dL未満の状態であり、神経や筋肉の興奮性が異常亢進し「テタニー(手足のしびれ、痙攣)」を引き起こす。Chvostek徴候やTrousseau徴候が特徴的で、心電図ではQT延長をきたす。
MEN1(Wermer症候群)は、がん抑制遺伝子であるMEN1遺伝子の変異により生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患である。「副甲状腺」「下垂体」「膵・消化管」の3つの内分泌臓器に腫瘍が多発するのが特徴で、高カルシウム血症(副甲状腺機能亢進症)が初発症状となることが多い。
高カルシウム血症は、血清補正Ca濃度が10.5mg/dL以上の状態。悪性腫瘍と原発性副甲状腺機能亢進症が2大原因であり、消化器症状や精神・神経症状をきたす。重症化すると「高カルシウムクリーゼ」として致死的になるため、早急な大量輸液とビスホスホネート投与が必要となる。