外科に関連する疾患を40件掲載。概要・科目・更新日を確認しながら、国家試験・臨床実習・復習に使える疾患知識を効率よく整理できます。
壊死性筋膜炎は、皮下組織の深部にある「筋膜」に細菌が感染し、組織を急速に腐らせながら(壊死)広がる致死的な軟部組織感染症。いわゆる「人食いバクテリア」による感染症であり、一刻も早い外科的デブリドマンが救命の鍵となる。
胆道閉塞は、胆管が結石(総胆管結石)や悪性腫瘍(胆管癌、膵頭部癌、十二指腸乳頭部癌など)によって物理的に塞がれ、胆汁が十二指腸へ排泄されなくなる病態。行き場を失ったビリルビンが血液中に逆流し、「閉塞性黄疸」をきたす。
大腿骨頸部骨折は、高齢者が転倒した際に生じやすい股関節の骨折。関節包(関節の袋)の「内側」で折れるため、骨頭を栄養する血流が絶たれやすく、「大腿骨頭壊死」や「偽関節(骨がくっつかない)」のリスクが極めて高い。寝たきりの原因となるため早期の手術が必要。
椎体圧迫骨折は、脊椎の椎体(主に前側)が潰れるように骨折する病態。骨粗鬆症の高齢者に好発し、尻餅をつくなどの軽微な外傷、あるいは自覚的な外傷なしで発症する。背中が丸くなる円背(亀背)の原因となる。
腹部大動脈瘤(AAA)は、腹部大動脈が局所的に拡大(通常3cm以上)した状態である。多くは無症状だが、臍周囲の「拍動性腫瘤」として触知され、破裂すると致命的な腹腔内出血をきたす。拡大速度や径(男性5cm以上など)に基づいて手術を検討する。
橈骨遠位端骨折は、手首の骨折であり、高齢の骨粗鬆症患者に多発する。手のひらをついて転倒した際に生じる「Colles(コーレス)骨折」が圧倒的に多く、遠位骨片が背側(手の甲側)へズレてフォーク状の変形を呈する。
臍ヘルニアは、へその輪(臍輪)が閉鎖不全や脆弱化により、腹腔内内容物が突出した状態である。小児の先天性と大人の後天性があり、大人では肝硬変による腹水や肥満が原因となることが多い。
裂肛は、硬い便の通過などにより肛門管の皮膚(上皮)が裂けた状態である。排便時の「激しい痛み」と「少量の鮮血」が特徴であり、慢性化すると肛門狭窄をきたす。
閉鎖孔ヘルニアは、骨盤の閉鎖孔(閉鎖神経の通り道)から腸管が脱出する外疝痛の一種。高齢・痩せ型の女性に好発し、初期には閉鎖神経の圧迫による膝内側までの痛み(Howship-Romberg徴候)を呈し、嵌頓すると絞扼性イレウスを引き起こす。
内痔核は、歯状線より「口側(上側)」の粘膜下血管叢がうっ滞・肥大し、支持組織が緩んで脱出・出血をきたす状態である。痛みは少ないが、排便時の鮮血便や脱出が主な症状となる。Goligher分類による重症度判定が治療選択の指標となる。
直腸脱は、直腸壁の全層が肛門外に反転・脱出した状態である。高齢女性に多く、骨盤底筋群の脆弱化が背景にある。粘膜のみが脱出する「直腸粘膜脱」との鑑別が重要である。
先天性胆道拡張症は、先天的に胆管(主に総胆管)が拡張する疾患である。高率に「膵・胆管合流異常」を合併し、膵液の胆管内への逆流によって胆管炎や胆道癌(胆管癌・胆嚢癌)を引き起こすリスクが極めて高いため、予防的な手術が必要となる。
痔瘻は、歯状線にある肛門腺の感染(肛門周囲膿瘍)が進行し、直腸・肛門管内と肛門周囲の皮膚がトンネル(瘻管)でつながった状態である。自然治癒はせず、外科的手術が唯一の根治法となる。長期放置により「痔瘻癌」が発生するリスクがある。
胸部大動脈瘤(TAA)は、胸部大動脈(上行、弓部、下行)が拡張した状態。無症状で経過することが多いが、巨大化すると周囲臓器を圧迫し、反回神経麻痺による「嗄声(させい)」などの症状をきたす。破裂の危険が高いサイズ(5.5〜6.0cm以上)で手術適応となる。
外痔核は、歯状線より「肛門側(下側)」の静脈叢にうっ滞が生じ、腫脹したものである。内痔核と異なり、知覚神経(体性神経)が豊富な部位にあるため、血栓形成(血栓性外痔核)を伴うと「激しい痛み」をきたす。
Buerger病は、喫煙者の青壮年男性に好発する、四肢末梢(特に下肢)の中〜小動静脈の非化膿性炎症および血栓形成をきたす疾患である。間欠性跛行や安静時痛、重症化すると虚血による潰瘍・壊死をきたす。治療の絶対条件は「禁煙」である。
Boerhaave(ブールハーフェ)症候群は、激しい嘔吐などの急激な食道内圧上昇により、健康な食道の全層が破裂する緊急疾患である。強烈な胸痛と背部痛をきたし、縦隔炎から敗血症へ進行するため、24時間以内の緊急手術が救命の鍵となる。
胎便イレウスは、新生児期に通常より粘稠度(ネバネバ)の高い胎便が回腸末端部に詰まることで生じる腸閉塞である。欧米では「嚢胞性線維症(CF)」の初発症状として有名であるが、日本人では稀である。
複雑性腸閉塞は、物理的な腸管の閉塞に加えて「腸間膜の血管が締め付けられ、血流障害を伴う」極めて危険な状態である。数時間で腸管が壊死・穿孔し、敗血症性ショックに至るため、一刻も早い緊急手術の絶対適応となる。
麻痺性イレウスは、腸管そのものに物理的な閉塞物はないが、自律神経の反射や電解質異常などにより腸管全体の蠕動運動が消失し、内容物が停滞する状態である。開腹手術の術後や腹膜炎の合併症として頻繁にみられる。
痙攣性イレウスは、機能性腸閉塞の一種であり、腸管の局所が過度に痙攣・収縮(縮瞳)し続けることで、内容物の通過が妨げられる稀な病態である。鉛中毒や腹部への鈍的打撲などを原因とする。
輸入脚症候群は、胃切除後(特にビルロートII法やRoux-en-Y法)の再建腸管において、吻合部より口側にある腸管(輸入脚:胆汁や膵液が通るルート)が物理的に閉塞して液がうっ滞する合併症である。「食後の右季肋部痛」と、その後に「胆汁を大量に嘔吐すると症状がスッキリ消失する」のが最大の特徴。
汎発性腹膜炎は、胃・十二指腸潰瘍の穿孔や大腸穿孔、急性虫垂炎の破裂などを原因として、腹腔内全体に激しい炎症・感染が波及した極めて重篤な状態である。板状硬などの強い腹膜刺激症状を呈し、直ちに緊急開腹手術が必要となる。
膿胸は、胸腔内(肺と胸壁の間)に細菌が感染し、膿(白血球や死滅した組織などを含む滲出液)が貯留した状態である。肺炎に続発することが多く、速やかな胸腔ドレナージと抗菌薬投与が必要となる。
単純性腸閉塞は、腸管の通り道が物理的に塞がれているが、腸管への「血流障害を伴わない」状態である。開腹手術後の「癒着」が原因の最多を占め、絶食・輸液やイレウス管による保存的治療が第一選択となる。
自然気胸は、外傷などの明らかな誘因なく肺表面のブラ(嚢胞)が破裂し、胸腔内に空気が漏れ出て肺が虚脱する疾患である。若年・痩せ型・長身の男性に好発し、突然の胸痛と呼吸困難で発症する。
偽性腸閉塞(Ogilvie症候群)は、腫瘍などの物理的な閉塞起点がないにもかかわらず、大腸(特に右半結腸〜横行結腸)が著明に拡張する急性病態である。高齢者や基礎疾患を持つ長期臥床者に好発し、穿孔リスクがあるため早急な減圧が必要となる。
膵癌は、膵管上皮から発生する悪性腫瘍であり、早期発見が極めて困難で予後不良な疾患の代表である。喫煙や糖尿病、慢性膵炎がリスク因子となり、黄疸や背部痛、急激な糖尿病の悪化を契機に発見されることが多い。
MEN2は、RETがん遺伝子の変異により生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患である。「甲状腺髄様癌」と「褐色細胞腫」を必須病変とし、周術期の致死的なクリーゼを防ぐため、甲状腺手術よりも「褐色細胞腫の治療を絶対に優先する」ことが最大の鉄則である。
急性胆嚢炎は、主に胆嚢結石が胆嚢管に嵌頓(詰まること)することで胆汁がうっ滞し、細菌感染を伴って胆嚢に急性の炎症が生じる疾患である。右季肋部痛、発熱、Murphy徴候が特徴であり、早期の腹腔鏡下胆嚢摘出術が標準治療となる。
内鼠径ヘルニアは、腹壁下動脈の「内側」にある脆弱な部分(Hesselbach三角)から、腸管が直接前方に脱出するヘルニア。中高年男性に多く、外鼠径ヘルニアに比べて嵌頓を起こしにくいのが特徴である。
大腿ヘルニアは、腸管が大腿輪を通って、鼠径靭帯の下方(大腿部)に脱出するヘルニア。多産婦の高齢女性に多く、全ヘルニアの中で最も「嵌頓(かんとん)」しやすく、緊急手術となることが多い超重要疾患である。
食道裂孔ヘルニアは、胃の一部が横隔膜の食道裂孔を通って縦隔内(胸腔内)へ脱出する疾患。滑脱型が最も多く、下部食道括約筋(LES)の機能低下により胃食道逆流症(GERD)の主要な原因となる。
外鼠径ヘルニアは、腸管が腹壁下動脈の「外側」にある内鼠径輪(深鼠径輪)から鼠径管を通って外鼠径輪(浅鼠径輪)へ脱出するヘルニア。小児のヘルニアはほぼ全例がこれであり、成人でも鼠径ヘルニアの中で最も頻度が高い。
乳房Paget病は、乳頭・乳輪部の難治性湿疹様病変を特徴とする特殊な乳癌である。乳頭直下の乳管内癌(DCIS)が、乳管を通って表皮内に進展した状態であり、ステロイド外用薬が無効な湿疹として発見されることが多い。
大腸憩室炎は、大腸壁の一部が外側に突出した憩室に便などが詰まり、細菌感染を起こす疾患である。右側結腸(上行結腸)と左側結腸(S状結腸)に好発し、発熱や局所的な腹痛をきたす。CBTや医師国家試験では、虫垂炎との鑑別や、急性期の内視鏡禁忌、絶食と抗菌薬による保存的治療、穿孔合併時の緊急手術の適応が頻出の重要疾患である。
食道癌は食道粘膜から発生する悪性腫瘍であり、日本では約90%が胸部中部に好発する扁平上皮癌である。嚥下困難や体重減少を特徴とし、早期発見が難しく予後不良になりやすい。CBTや医師国家試験では、ヨード染色を用いた内視鏡診断、リンパ節転移の多さ(反回神経麻痺による嗄声など)が頻出の重要疾患である。
急性虫垂炎は、虫垂内腔の閉塞を契機に細菌感染を伴って急激に炎症を起こす疾患であり、急性腹症の代表格である。心窩部から右下腹部へと移動する腹痛を特徴とし、CBTや医師国家試験では特有の身体所見(McBurney点など)や画像所見が毎年必ず問われる超頻出疾患である。
胃癌は、胃粘膜上皮から発生する悪性腫瘍であり、日本人に非常に多い癌の一つである。初期は無症状であることが多く、進行すると心窩部痛や体重減少、吐血などをきたす。ピロリ菌感染が最大の危険因子であり、CBTや医師国家試験では転移の形式(Virchow転移など)や内視鏡所見が極めて頻出の重要疾患である。