血液内科に関連する疾患を33件掲載。概要・科目・更新日を確認しながら、国家試験・臨床実習・復習に使える疾患知識を効率よく整理できます。
非ホジキンリンパ腫は、ホジキンリンパ腫以外の全ての悪性リンパ腫の総称であり、日本のリンパ腫の90%以上を占める。B細胞性、T/NK細胞性に大別され、節外病変(胃、腸、甲状腺など)が多く、非連続性に飛び石のように転移する特徴がある。
慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞の染色体異常(フィラデルフィア染色体)によって生じる骨髄増殖性腫瘍。異常なチロシンキナーゼ(BCR-ABL)が作られ、白血球(特に顆粒球系)が自律性に過剰増殖する。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場により予後が劇的に改善した。
慢性リンパ性白血病は、形態的に成熟した小型のBリンパ球が異常増殖し、末梢血や骨髄、リンパ節に蓄積する低悪性度の血液腫瘍。欧米の白血病では最多だが、日本人には極めて稀である。進行が非常に緩徐であり、無症状の場合は治療を行わず経過観察される。
多発性骨髄腫は、骨髄中の形質細胞(抗体を産生する細胞)が腫瘍化し、単クローン性の異常な免疫グロブリン(M蛋白)を過剰産生する疾患。骨破壊による高カルシウム血症や病的骨折、および腎障害を特徴とする血液がんである。
成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)は、ヒトT細胞白血病ウイルス1型(HTLV-1)の感染によって生じる極めて予後不良な末梢性T細胞腫瘍。日本(特に九州・沖縄地方)に多く、母乳を介した垂直感染から数十年の潜伏期間を経て発症する。
原発性ALアミロイドーシスは、異常な形質細胞が産生したモノクローナルな免疫グロブリンの「軽鎖(L鎖)」が、アミロイド線維として全身の臓器に沈着し、重篤な機能障害を引き起こす致死的な疾患。多発性骨髄腫(MM)に合併することもある。
巨赤芽球性貧血は、ビタミンB12または葉酸の欠乏によりDNA合成が障害され、赤芽球の細胞分裂が遅延することで生じる大球性貧血。赤血球が巨大化するだけでなく、白血球や血小板も減少する汎血球減少をきたすことがある。
急性リンパ性白血病は、リンパ球系の造血幹細胞が分化能を失い、未熟な白血病細胞(リンパ芽球)として骨髄中で自律増殖する血液腫瘍。小児がんで最も頻度が高く、小児では化学療法により高い治癒率を誇るが、成人では予後不良な染色体異常を伴うことが多い。
鎌状赤血球症は、ヘモグロビンの遺伝子変異により、低酸素状態などで赤血球が「鎌状(三日月型)」に変形する遺伝性溶血性貧血。変形した赤血球が微小血管に詰まることで、強烈な疼痛発作や多臓器障害を引き起こす。
MGUS(エムガス)は、血液中にM蛋白(単クローン性免疫グロブリン)が存在するものの、臓器障害や明らかな腫瘍の増殖を伴わない無症候性の状態。多発性骨髄腫(MM)の前段階にあたり、高齢者に多く見られる。
ホジキンリンパ腫は、リンパ節から発生する悪性リンパ腫の一種で、日本における悪性リンパ腫全体の約10%未満を占める。特徴的な「Reed-Sternberg(リード・シュテルンベルク)細胞」などを認め、隣接するリンパ節へ連続性に進展する。化学療法(ABVD療法など)が著効し、予後は比較的良好である。
ヘモクロマトーシスは、鉄の過剰な吸収・蓄積により、肝臓、膵臓、心臓、皮膚などの実質臓器が障害される疾患。原発性(遺伝性)と、頻回な輸血などによる続発性(二次性鉄過剰症)がある。皮膚色素沈着、肝硬変、糖尿病が古典的三徴である。
ビタミンB12の欠乏により、DNAの合成が障害され、骨髄で赤血球が正常に成熟できない「巨赤芽球性貧血」をきたす疾患。自己免疫による胃壁細胞の破壊で内因子が欠乏して起こるものを「悪性貧血」と呼ぶ。貧血に加え、葉酸欠乏にはない「神経症状」を伴うのが最大の特徴である。
チェディアック・東症候群は、LYST遺伝子変異により細胞内の小胞輸送が障害される原発性免疫不全症。部分白皮症(銀髪、色白)、好中球内の巨大顆粒、易感染性を三徴とし、進行すると血球貪食症候群(加速期)に移行して致死的となる。
サラセミアは、ヘモグロビンを構成するグロビン鎖(α鎖またはβ鎖)の合成障害により、小球性低色素性貧血をきたす遺伝性疾患。鉄欠乏性貧血(IDA)と非常に類似の検査所見を示すが、体内鉄は欠乏しておらず、むしろ過剰になりやすい(鉄剤投与が禁忌となる)点が極めて重要である。
鉄欠乏性貧血は、ヘモグロビンの構成成分である鉄の不足により、赤血球の産生が低下して生じる貧血。全貧血の中で最も頻度が高く、小球性低色素性貧血を呈する。原因検索(消化管出血や過多月経など)が治療と同じくらい重要である。
血小板減少症は、一次止血を担う血小板数が基準値(通常15万/μL以下)に低下する病態。点状出血や紫斑などの皮膚粘膜出血を特徴とし、免疫性血小板減少性紫斑病(ITP)、血栓性血小板減少性紫斑病(TTP)、播種性血管内凝固症候群(DIC)、骨髄での産生低下(白血病など)が代表的な原因である。
遺伝性球状赤血球症は、赤血球の膜タンパク質(スペクトリンやアンキリンなど)の異常により、赤血球が球状になり、脾臓で過剰に破壊される(血管外溶血)先天性溶血性貧血である。日本人で最も多い遺伝性溶血性貧血である。
クリオグロブリン血症は、体温より低い温度(寒冷曝露)で沈殿し、37℃に温めると再溶解する異常な免疫グロブリン(クリオグロブリン)が血中に存在する病態。C型肝炎(HCV)感染に高率に合併し、紫斑や関節痛、腎障害を引き起こす。
AIHAは、自己の赤血球に対する抗体(自己抗体)が産生され、赤血球が破壊(溶血)されることで進行性の貧血や黄疸をきたす疾患である。「温式(IgG)」と「冷式(IgM)」に大別され、直接クームス試験陽性が確定診断の要となる。
ALPSは、リンパ球のアポトーシス(細胞死)障害により、慢性的な非悪性リンパ増殖(リンパ節腫脹、肝脾腫)と自己免疫疾患(主に血球減少症)をきたす稀な遺伝性免疫疾患である。ダブルネガティブT細胞(DNT)の増加が特徴的。
急性前骨髄球性白血病(APL)は、骨髄芽球から前骨髄球への分化段階で成熟が停止する急性骨髄性白血病(FAB分類M3)である。重篤なDIC(播種性血管内凝固症候群)を合併しやすく致死的になり得るが、ATRA(分化誘導療法)が劇的に著効する特異な白血病である。
原発性骨髄線維症(PMF)は、骨髄増殖性腫瘍(MPN)の一つであり、異常増殖した巨核球から放出されるサイトカインにより骨髄が線維化する疾患である。造血の場を奪われた血液細胞が脾臓や肝臓で造血(髄外造血)を行うため、巨大脾腫と末梢血の涙滴赤血球が特徴である。
HLHは、マクロファージやT細胞が異常活性化してサイトカインストームを引き起こし、自己の血球を貪食してしまう致死的な過剰免疫症候群である。高熱、肝脾腫、血球減少、著明な高フェリチン血症が特徴。
リンパ形質細胞性リンパ腫(LPL)は、B細胞から形質細胞への分化段階にある「リンパ形質細胞」が異常増殖する低悪性度リンパ腫。大部分がIgM型のM蛋白を大量に産生し、これを原発性マクログロブリン血症(WM)と呼ぶ。血液がドロドロになる「過粘稠度症候群」が特徴的である。
慢性好酸球性白血病(CEL)および特発性好酸球増加症候群(HES)は、末梢血と骨髄で好酸球が持続的に異常増殖し、その好酸球が心臓や肺、神経などの臓器に浸潤して重篤な組織障害を引き起こす疾患群である。心内膜の線維化による制限型心筋症が予後を左右する。
有毛細胞白血病は、細胞質に毛髪様(hairy)の突起を持つ成熟B細胞系の低悪性度白血病である。中高年男性に多く、著明な脾腫と汎血球減少(特に単球減少)をきたす。「TRAP染色陽性」と「骨髄のドライタップ」が国試の定番キーワードである。
本態性血小板血症は、骨髄増殖性腫瘍(MPN)の一つであり、造血幹細胞の遺伝子異常により主に巨核球が異常増殖し、末梢血の血小板数が持続的に著増する疾患である。無症状で発見されることが多いが、血栓症と出血傾向の両方に注意が必要である。
菌状息肉症は、皮膚指向性を持つCD4陽性T細胞が皮膚に浸潤・増殖する低悪性度の非ホジキンリンパ腫(皮膚T細胞リンパ腫の代表)である。数年から数十年かけて紅斑期、扁平浸潤期、腫瘍期へと緩徐に進行する。病理組織での「Pautrier(ポートリエ)微小膿瘍」が特徴的。
骨髄増殖性腫瘍(MPN)は、造血幹細胞の遺伝子変異により、分化能を保ったまま1系統以上の成熟血球(白血球、赤血球、血小板)が骨髄で過剰増殖し、末梢血中で著増する疾患群である。CML、PV、ET、PMFの4大疾患が代表的である。
真性多血症は、造血幹細胞の遺伝子異常(主にJAK2変異)により、エリスロポエチン(EPO)の刺激なしに赤血球を中心に血液細胞が自律的に過剰増殖する骨髄増殖性腫瘍である。血液の粘稠度上昇による血栓症や、入浴後の全身そう痒感が特徴である。
異食症(ピカ)は、土、紙、髪の毛、氷など、栄養価のない非食料物質を1ヶ月以上強迫的に食べ続ける摂食障害の一つである。小児や妊婦、鉄欠乏性貧血の患者に多くみられる。