産婦人科に関連する疾患を44件掲載。概要・科目・更新日を確認しながら、国家試験・臨床実習・復習に使える疾患知識を効率よく整理できます。
胎児発育不全(FGR)は、超音波による胎児推定体重が基準値(-1.5 SD以下)を下回り、胎児が正常に発育していない状態。原因により、頭も体も小さい「均衡型」と、体だけが痩せ細る「不均衡型」に大別され、管理方針が異なる。
新生児低血糖は、生後早期の新生児において血糖値が異常に低下した状態。脳のエネルギー源が枯渇するため、放置すると不可逆的な中枢神経障害(発達遅滞や脳性麻痺)を残す。母体糖尿病やFGR、早産児がハイリスクとなる。
常位胎盤早期剥離は、正常な位置に付着している胎盤が、胎児の娩出「前」に子宮壁から剥がれ落ちる致死的疾患。母体は大量出血とDIC(播種性血管内凝固症候群)に陥り、胎児は酸素供給が絶たれて急速に仮死・胎児死亡に至る。
抗リン脂質抗体症候群(APS)は、自己抗体である抗リン脂質抗体が陽性となり、動静脈の血栓症や習慣流産(不育症)を引き起こす自己免疫疾患である。体内で血栓ができやすいにもかかわらず、検査(in vitro)ではAPTTが延長するのが特徴的な引っかけである。
産褥心筋症は、それまで心疾患の既往がない女性が、妊娠末期から産後(産褥期)数ヶ月の間に突然発症する特発性の心不全。拡張型心筋症(DCM)と同様に左室の拡張と収縮能低下をきたす。母体の生命を脅かす重篤な疾患である。
異所性妊娠は、受精卵が子宮腔以外の場所(約90%以上が卵管膨大部)に着床する異常妊娠。破裂すると腹腔内への大出血を引き起こし、出血性ショックで母体の命に関わる産婦人科領域の最重要救急疾患である。
ターナー症候群は、女性の性染色体(XX)のうち1本が完全にまたは部分的に欠失している(45,Xなど)染色体異常。低身長、原発性無月経、翼状頸を特徴とし、知能は通常正常である。大動脈縮窄症を高率に合併する。
梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)の感染によって引き起こされる性感染症(STI)。「偽装の達人」と呼ばれ、多彩な全身症状を呈する。近年、若年層を中心に感染者数が急増しており、母子感染による「先天梅毒」の予防も重要課題となっている。
羊水は主に「胎児の尿」で作られ、「胎児が嚥下(飲み込む)して消化管から吸収する」ことで一定の量が保たれている。このサイクルの破綻により、羊水インデックス(AFI)が24cm以上を「羊水過多」、5cm以下を「羊水過少」と定義する。
前置胎盤は、胎盤が正常より低い位置に付着し、子宮口(内子宮口)の全体または一部を覆っている状態。妊娠後期の「無痛性性器出血」を特徴とし、経腟分娩は不可能で予定帝王切開となる。内診は出血を誘発するため「絶対禁忌」である。
パトー症候群は、13番染色体が3本存在する染色体異常症。顔面および中枢神経系の「正中部」の重篤な形成異常(口唇口蓋裂、単眼症、全前脳胞症など)を特徴とし、生後1年以内に死亡することが多い致死的疾患である。
ダウン症候群は、21番染色体が3本(トリソミー)存在することで生じる最も頻度の高い染色体異常症。特異的顔貌、精神発達遅滞、および先天性心疾患や消化管奇形などの多彩な合併症を特徴とする。
TORCH症候群は、母体が妊娠中に感染することで胎盤を介して胎児に感染し、先天奇形や重篤な障害を引き起こす病原体の頭文字をとった総称。トキソプラズマ(T)、その他(O)、風疹(R)、サイトメガロウイルス(C)、単純ヘルペス(H)を指す。
Sheehan症候群は、分娩時の大量出血に伴うショックにより、下垂体前葉が虚血・壊死に陥り、汎下垂体機能低下症をきたす疾患である。「産後の乳汁分泌停止」と「無月経」が初発症状となる。
更年期障害は、閉経前後の女性において卵巣機能の低下(エストロゲンの急減)により生じる、自律神経失調症状や精神症状を中心とする多彩な症候群である。顔のほてり・のぼせ(ホットフラッシュ)が特徴的である。
月経困難症は、月経に随伴して起こる病的症状(強い下腹部痛など)で、日常生活に支障をきたす状態である。原因となる器質的疾患がない「機能性」と、子宮内膜症や子宮筋腫などが原因となる「器質性」に分類され、いずれもNSAIDsや低用量ピルが第一選択となる。
妊娠糖尿病(GDM)は、妊娠中に初めて発見または発症した、糖尿病には至らない糖代謝異常である。妊娠中のホルモン変化によるインスリン抵抗性の増大が原因であり、母体・胎児双方への合併症を防ぐための厳格な血糖管理が求められる。
卵巣癌は、卵巣に発生する悪性腫瘍の総称である。初期症状が乏しく、腹水や腹部膨満感で発見された時には進行していることが多い(Silent Killer)。「漿液性癌」が最多であり、手術による徹底的な減量術と化学療法が治療の基本となる。
子宮頸管無力症は、妊娠中・後期に陣痛(子宮収縮)や出血を伴わずに子宮頸管が熟化・開大し、流産や早産に至る疾患である。自覚症状がないまま進行し、健診の内診や経腟エコーで頸管の短縮や胎胞の脱出が発見されることが特徴。
HELLP症候群は、妊娠後期〜分娩期(または産褥期)に発症する、溶血(Hemolysis)、肝酵素上昇(Elevated Liver enzymes)、血小板減少(Low Platelets)を三徴とする重篤な産科的合併症である。急速に多臓器不全へ進行するため、原則として「急速遂娩(緊急帝王切開などによる分娩の終了)」が唯一の根本治療となる。
乳房Paget病は、乳頭・乳輪部の難治性湿疹様病変を特徴とする特殊な乳癌である。乳頭直下の乳管内癌(DCIS)が、乳管を通って表皮内に進展した状態であり、ステロイド外用薬が無効な湿疹として発見されることが多い。
Asherman症候群は、人工妊娠中絶や流産手術などによる過度な子宮内膜掻爬によって子宮内膜の基底層が破壊され、子宮腔内に癒着が生じる疾患である。子宮性無月経や続発性不妊の代表的な原因となる。
伝染性紅斑(リンゴ病)は、ヒトパルボウイルスB19の感染により、両頬のリンゴ様の紅斑と四肢のレース状紅斑を呈する小児の感染症である。CBTや国試では、皮疹出現時にはすでに感染力がない点や、妊婦感染時の胎児水腫、溶血性貧血患者における無形成発作の誘発が超頻出である。
風疹は、風疹ウイルスの飛沫感染によって発症する急性のウイルス性発疹症である。発熱、発疹、リンパ節腫脹を三主徴とする。CBTや国試では、妊婦が初期に感染することで胎児に難聴・白内障・先天性心疾患を引き起こす「先天性風疹症候群(CRS)」と、それを防ぐためのMRワクチン(生ワクチンであり妊婦禁忌)が超頻出である。
胞状奇胎は、受精時の異常により胎盤の絨毛(トロホブラスト)が異常増殖し、多数の嚢胞(水疱)を形成する異常妊娠である。異常出血や強いつわり(悪阻)を契機に発見され、超音波検査での「吹雪様エコー」やhCGの著明な高値が特徴である。CBTや医師国家試験では、全胞状奇胎と部分胞状奇胎の遺伝学的違いや、絨毛癌への移行を防ぐための厳重なhCG管理(術後フォローアップ)が毎年問われる超頻出疾患である。
卵巣生殖細胞腫瘍は、卵子のもととなる生殖細胞から発生する腫瘍で、若年女性に好発する。大多数は良性の「成熟嚢胞性奇形腫(皮様嚢腫)」であるが、未分化胚細胞腫や卵黄嚢腫瘍などの悪性腫瘍もある。CBTや国試では、成熟嚢胞性奇形腫の茎捻転リスク、MRIでの脂肪信号、および高齢期の悪性転化が頻出である。
微弱陣痛および回旋異常は、分娩進行(パルトグラム)の遅延や停止をきたす代表的な異常である。CBTや国試では、パルトグラムの読み取り、オキシトシン等による陣痛促進の適応、および低在横定位などに対する吸引・鉗子分娩の基準が頻出の重要テーマである。
乳腺炎は、産褥期(特に授乳中)の乳房に生じる炎症である。乳汁の排出不良による「うっ滞性乳腺炎」と、それに細菌感染が加わった「化膿性乳腺炎」に大別される。CBTや国試では、両者の鑑別と、うっ滞性では授乳を継続・促進し、化膿性では患側の授乳を中止し搾乳や切開排膿を行う対応の違いが頻出である。
弛緩出血は、分娩第3期(胎盤娩出)以降に子宮筋の収縮不良により大量出血をきたす状態であり、産後出血の最多の原因である。CBTや国試では、軟らかく巨大な子宮(子宮底が高い)の所見と、子宮底輪状マッサージや双手圧迫、子宮収縮薬の投与という初期対応が超頻出である。
卵巣がんは、卵巣の表層上皮から発生する悪性腫瘍である。初期症状に乏しく、腹水や腹部膨満感を契機に進行期で発見されることが多いため「サイレントキラー」と呼ばれる。CBTや国試では、4つの主要組織型(漿液性、明細胞、粘液性、類内膜)の特徴、腫瘍マーカーCA125、および腫瘍減量術とTC療法が超頻出である。
胎便吸引症候群(MAS)は、胎児が低酸素ストレス等により子宮内で胎便を排泄し、それを含む羊水を出生前後に気道へ吸引することで、気道閉塞や化学性肺炎をきたす疾患である。CBTや国試では、過熟児に多い点や、チェックバルブ機序による「気胸」の合併、および遷延性肺高血圧症(PPHN)の併発が頻出の重要疾患である。
産褥熱は、分娩後24時間以降から産後10日以内の期間に、2日以上続く38℃以上の発熱をきたす感染症の総称である。大多数は子宮内感染(子宮内膜炎)に起因する。CBTや国試では、悪露の悪臭や子宮の圧痛といった子宮内膜炎のサインと、広域抗菌薬による治療が頻出である。
子宮筋腫は、子宮筋層の平滑筋から発生する良性腫瘍であり、女性骨盤内腫瘍で最も頻度が高い。エストロゲン依存性で増大し、粘膜下・筋層内・漿膜下に分類される。CBTや医師国家試験では、過多月経と鉄欠乏性貧血(特に粘膜下)、MRIでのT2低信号、およびGnRHアゴニストを用いた偽閉経療法が頻出の重要疾患である。
多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)は、慢性的な無排卵、高アンドロゲン血症、卵巣の多嚢胞性変化を特徴とする内分泌疾患である。月経異常(無月経や稀発月経)、不妊症、肥満、多毛を主訴とする。CBTや医師国家試験では、特異的なホルモン値の異常(LH高値・FSH正常)や、挙児希望の有無による治療法の選択が毎年問われる超頻出疾患である。
子宮破裂と羊水塞栓症は、分娩中から分娩直後に突然発症し、母児の生命を脅かす極めて重篤な産科的救急疾患である。CBTや国試では、既往帝王切開などのリスクと激痛・陣痛消失を伴う子宮破裂、および突然の呼吸困難と致死的なDICをきたす羊水塞栓症の鑑別・対応が超頻出である。
子宮頸がんは、主にヒトパピローマウイルス(HPV)の持続感染によって子宮頸部の移行帯(SCJ)から発生する悪性腫瘍である。CIN(子宮頸部前癌病変)を経て浸潤癌へ進行する。CBTや医師国家試験では、細胞診(ベセスダシステム)から組織診への診断フローや、進行度に応じた治療(円錐切除術から広汎子宮全摘出術まで)が超頻出の重要疾患である。
子宮内膜症および子宮腺筋症は、子宮内膜様組織が本来の場所以外(卵巣や子宮筋層など)でエストロゲン依存性に増殖・出血を繰り返す疾患である。CBTや国試では、進行する激しい月経困難症、CA125の上昇、MRI(T1高信号/T2 shading)、および卵巣癌(明細胞癌)への悪性化リスクが頻出の重要疾患である。
子宮体がんは、子宮内膜から発生する悪性腫瘍であり、エストロゲンの過剰曝露が最大のリスク因子である。閉経後や更年期女性の不正性器出血を契機に発見されることが多い。CBTや医師国家試験では、肥満・未産などのリスク因子、類内膜癌、およびMRI(T2強調画像)による筋層浸潤の評価が超頻出の重要疾患である。
新生児呼吸窮迫症候群(RDS)は、早産児において肺表面活性物質(サーファクタント)が欠乏することにより、肺胞が虚脱し進行性の呼吸不全をきたす疾患である。CBTや医師国家試験では、胸部X線での網状顆粒状影やエアブロンコグラム、および人工サーファクタント補充療法が頻出の重要疾患である。
新生児一過性多呼吸(TTN)は、胎児期の肺液の吸収遅延により、出生直後から一過性の多呼吸などの呼吸障害をきたす良性の疾患である。正期産児や予定帝王切開児に多い。CBTや医師国家試験では、RDSとの鑑別や、数日で自然軽快するため酸素投与による「経過観察」が正解となる点が頻出である。
新生児黄疸は、ビリルビン代謝の未熟性などにより生じる新生児期の黄疸である。大半は良性の生理的黄疸だが、重症化すると非抱合型(間接)ビリルビンが脳に沈着し、不可逆的な神経障害(核黄疸:ビリルビン脳症)をきたす。CBTや国試では、病的黄疸の基準や、光線療法・交換輸血の適応が超頻出である。
子宮内膜症は、子宮内膜に類似した組織が子宮内腔以外の場所(卵巣、ダグラス窩、骨盤腹膜など)で増殖するエストロゲン依存性の疾患である。20〜40歳代の女性に好発し、月経のたびに出血・炎症を起こして周囲との癒着を形成する。次第に増悪する激しい月経痛(月経困難症)と不妊症が特徴であり、CBTや医師国家試験では、チョコレート嚢胞のMRI所見や、挙児希望の有無に応じた治療薬の選択が毎年問われる超頻出疾患である。
抗リン脂質抗体症候群(APS)は、動静脈の血栓症と習慣流産などの妊娠合併症を特徴とし、抗リン脂質抗体が陽性となる自己免疫疾患である。SLEなどの膠原病に合併しやすく、CBTや医師国家試験では、体内は血栓傾向なのに検査(APTT)は延長する乖離や、妊婦へのヘパリン療法が頻出の重要疾患である。