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産褥心筋症は、それまで心疾患の既往がない女性が、妊娠末期から産後(産褥期)数ヶ月の間に突然発症する特発性の心不全。拡張型心筋症(DCM)と同様に左室の拡張と収縮能低下をきたす。母体の生命を脅かす重篤な疾患である。
急性心不全症状:激しい労作時息切れ、起座呼吸(横になれない)、咳嗽、ピンク色泡沫状痰。
著明な全身浮腫、体重増加、動悸、頻脈。
血栓塞栓症(肺塞栓、脳梗塞)のリスク増加。
心エコー(必須):左室の拡大、および『左室駆出率(LVEF)の著明な低下(<45%)』。※他の心疾患(先天性心疾患、弁膜症など)の除外。
血液検査:BNPまたはNT-proBNPの著増。
※診断基準の期間(妊娠最後の1ヶ月から産後5ヶ月)に合致すること。
心不全の標準治療:利尿薬、β遮断薬、血管拡張薬。※妊娠中(出産前)の場合は、胎児毒性がある『ACE阻害薬/ARB、ARNI』は【禁忌】である。
抗プロラクチン療法:ブロモクリプチンなどのドパミン作動薬が有効との報告があり、使用されることがある(この場合、授乳は中止となる)。
血栓予防:ヘパリン等の抗凝固療法。
重症例:補助人工心臓(VAD)や心臓移植の適応。
病態
原因は完全には解明されていないが、妊娠・分娩に伴う血行動態の劇的な変化、プロラクチン断片(16Kプロラクチン)による血管内皮障害、自己免疫学的機序などが関与すると考えられている。
試験・臨床での重要ポイント
『妊娠末期〜産後数ヶ月』の間に『呼吸困難(起座呼吸)や著明な浮腫』を訴えた場合、正常な妊娠・産褥期の変化(生理的なむくみや息切れ)と見過ごさず、直ちに心エコーで『左室収縮能低下(LVEF低下)』を確認することが重要。
多胎妊娠(双子など)、高齢妊娠、妊娠高血圧症候群に合併しやすい。
半数程度は数ヶ月で心機能が回復するが、回復しない場合はDCMと同様の経過をたどる。
最大の特徴として、『次回の妊娠で再発・重症化するリスクが極めて高い』ため、心機能が回復していない場合の次回妊娠は【禁忌】とされる。
覚え方・コツ
「産褥心筋症は『出産前後に突然、ママの心臓がDCM(拡張型心筋症)みたいにヘタる病気』!出産のむくみや疲れと間違えやすいから怖い。急に息ができなくなったら心エコーでEFを測れ!治る人もいるが、一度なったら次の妊娠は命がけになるから、避妊の指導が絶対に必要だ!」
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Dressler(ドレスラー)症候群は、急性心筋梗塞の発症から「数週間〜数ヶ月後」に、発熱や胸膜炎様胸痛を伴って発症する自己免疫性の「心膜炎(および胸膜炎)」である。
拘束型心筋症は、心室壁が著しく硬くなり(コンプライアンス低下)、拡張不全(血液が心室に入りにくい)をきたす特発性心筋症。収縮能と壁厚は正常に近いが、著明な心房拡大と右心不全症状を特徴とする。予後は極めて不良である。
急性心筋炎は、主にウイルス感染などを契機として心筋に急性の炎症が生じる疾患。軽症例から、数時間〜数日で致死的な心不全やショックに至る「劇症型心筋炎」まで重症度は様々。若年者の突然の心原性ショックの原因として重要である。
完全房室ブロックは、心房からの電気信号が心室に全く伝わらなくなった状態である。心房と心室がそれぞれ独自のペースで収縮(房室解離)し、心室の補充調律による高度な徐脈をきたすため、失神(アダムス・ストークス発作)や心不全の原因となる。