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胎児発育不全(FGR)は、超音波による胎児推定体重が基準値(-1.5 SD以下)を下回り、胎児が正常に発育していない状態。原因により、頭も体も小さい「均衡型」と、体だけが痩せ細る「不均衡型」に大別され、管理方針が異なる。
母体の自覚症状は通常ない。妊婦健診で子宮底長が短いことで疑われる。
出生後の新生児には、低血糖、多血症、低体温などのリスクがある。
超音波検査による胎児発育評価:児頭大横径(BPD)、腹部周囲長(AC)、大腿骨長(FL)から推定体重(EFW)を算出し、胎児発育曲線に照らし合わせて -1.5 SD 以下であればFGRと診断する。
臍帯動脈ドプラ:血流抵抗(PI値)の上昇、拡張期血流の途絶(AEDF)・逆絶(REDF)の確認。
母体のスクリーニング:血圧測定、TORCH抗体などの感染症検査。
特効薬はない。母体の安静、禁煙指導、基礎疾患(PIHなど)の管理。
分娩時期の決定(最重要):胎児心拍数陣痛図(CTG)、超音波ドプラ血流評価、羊水量(BPS:バイオフィジカル・プロファイル・スコア)などを用いて胎児の健康状態(well-being)を評価し、子宮内にとどまるより外に出した方が安全と判断されたタイミングで分娩(多くは帝王切開)を行う。
病態と分類(超頻出)
①『均衡型 FGR(対称性)』:妊娠初期から発症。胎児の細胞数自体が少ない。「胎児側」に原因があることが多く、『染色体異常(18トリソミー等)』や『先天性感染症(TORCH症候群、特にサイトメガロウイルスや風疹)』が代表的。頭部(BPD)も腹部(AC)も脚(FL)も全て小さい。
②『不均衡型 FGR(非対称性)』:妊娠中期〜後期に発症。「母体・胎盤側」に原因があり、『妊娠高血圧症候群(PIH)』や胎盤機能不全による栄養・酸素不足が原因。胎児は生命維持に重要な「脳」へ優先的に血流を送る(brain sparing effect)ため、頭の大きさ(BPD)は正常に保たれるが、肝臓のグリコーゲンや皮下脂肪が枯渇するため『腹囲(AC)だけが極端に細くなる(ガリガリになる)』。
試験・臨床での重要ポイント
胎児の血流評価が必須。超音波ドプラ法で『臍帯動脈』の血流を測り、「拡張末期血流の途絶・逆絶」が見られたら、胎盤機能が完全に破綻して胎児が酸欠状態にある極めて危険なサイン(NRFS)であり、ただちに帝王切開での娩出が必要。
覚え方・コツ
「FGRは『タネ(胎児)の問題か、畑(母体・胎盤)の問題か』を見極めろ!初期から頭も体も全部小さい(均衡型)のは、染色体異常やウイルスのせい(タネの問題)。途中からお腹だけがガリガリに細くなる(不均衡型)のは、お母さんの高血圧などで胎盤の栄養が届かないから、脳だけを守ろうとした結果(畑の問題)だ!」
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常位胎盤早期剥離は、正常な位置に付着している胎盤が、胎児の娩出「前」に子宮壁から剥がれ落ちる致死的疾患。母体は大量出血とDIC(播種性血管内凝固症候群)に陥り、胎児は酸素供給が絶たれて急速に仮死・胎児死亡に至る。
異所性妊娠は、受精卵が子宮腔以外の場所(約90%以上が卵管膨大部)に着床する異常妊娠。破裂すると腹腔内への大出血を引き起こし、出血性ショックで母体の命に関わる産婦人科領域の最重要救急疾患である。
羊水は主に「胎児の尿」で作られ、「胎児が嚥下(飲み込む)して消化管から吸収する」ことで一定の量が保たれている。このサイクルの破綻により、羊水インデックス(AFI)が24cm以上を「羊水過多」、5cm以下を「羊水過少」と定義する。
前置胎盤は、胎盤が正常より低い位置に付着し、子宮口(内子宮口)の全体または一部を覆っている状態。妊娠後期の「無痛性性器出血」を特徴とし、経腟分娩は不可能で予定帝王切開となる。内診は出血を誘発するため「絶対禁忌」である。