羊水は主に「胎児の尿」で作られ、「胎児が嚥下(飲み込む)して消化管から吸収する」ことで一定の量が保たれている。このサイクルの破綻により、羊水インデックス(AFI)が24cm以上を「羊水過多」、5cm以下を「羊水過少」と定義する。
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羊水過多:母体の腹部膨満感の増強、呼吸困難、切迫早産、胎位異常(赤ちゃんが水に浮いて回りやすくなる)。
羊水過少:母体の自覚症状は乏しい。子宮底長が週数より小さい。胎児の動き(胎動)が制限される。
超音波検査による羊水量の計測。
①羊水インデックス(AFI:子宮を4分割した羊水深度の合計)。正常は5〜24cm。
②最大羊水深度(MVP:最も深いポケットの深さ)。正常は2〜8cm。
原因疾患の検索(胎児形態異常、母体糖尿病など)。
羊水過多:母体の呼吸困難が強い場合や切迫早産の危険があれば、羊水穿刺による「羊水除去(羊水吸引)」を行う。原因疾患の管理(血糖コントロールなど)。
羊水過少:人工羊水注入(アミオインフュージョン)を行うことがある。前期破水であれば感染予防。胎盤機能不全によるものであれば、分娩時期の決定(早期娩出など)。
病態と原因(超頻出)
【羊水過多(AFI ≧ 24cm、またはMVP ≧ 8cm)】
胎児が「飲めない」病態:『消化管閉鎖(食道閉鎖、十二指腸閉鎖など)』、『無脳症・神経筋疾患(嚥下運動の障害)』。
尿が「作られすぎる」病態:『母体糖尿病(胎児の高血糖による多尿)』、双胎間輸血症候群(TTTS)の受血児、胎児水腫。
【羊水過少(AFI ≦ 5cm、またはMVP ≦ 2cm)】
尿が「作られない・出ない」病態:『腎無発生(Potter症候群)』、『尿路閉塞(後部尿道弁など)』。
尿以外の原因:『前期破水(PROM:水が漏れる)』、胎盤機能不全(FGRなどで胎児の血流が低下し、腎血流も減って尿が減る)、TTTSの供血児。
試験・臨床での重要ポイント
原因疾患との紐付けが重要。また、羊水過少が続くと、胎児が子宮の壁に圧迫されて「関節拘縮」や、肺を膨らませるスペースがないため『肺低形成』を起こし、出生後の致命的な呼吸不全の原因となる(Potter症候群など)。
覚え方・コツ
「羊水は『赤ちゃんが自分のおしっこを飲んで、また出すサイクル』!だから、食道や腸が詰まって『飲めない』、お母さんが糖尿病で『おしっこがジャブジャブ出る』と羊水は増える(過多)。逆に、腎臓がなくて『おしっこが作れない』、破水して『漏れる』と羊水は減る(過少)!羊水が少ないと、肺を膨らませる水がないから肺が育たない(肺低形成)ぞ!」
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胎児発育不全(FGR)は、超音波による胎児推定体重が基準値(-1.5 SD以下)を下回り、胎児が正常に発育していない状態。原因により、頭も体も小さい「均衡型」と、体だけが痩せ細る「不均衡型」に大別され、管理方針が異なる。
常位胎盤早期剥離は、正常な位置に付着している胎盤が、胎児の娩出「前」に子宮壁から剥がれ落ちる致死的疾患。母体は大量出血とDIC(播種性血管内凝固症候群)に陥り、胎児は酸素供給が絶たれて急速に仮死・胎児死亡に至る。
異所性妊娠は、受精卵が子宮腔以外の場所(約90%以上が卵管膨大部)に着床する異常妊娠。破裂すると腹腔内への大出血を引き起こし、出血性ショックで母体の命に関わる産婦人科領域の最重要救急疾患である。
前置胎盤は、胎盤が正常より低い位置に付着し、子宮口(内子宮口)の全体または一部を覆っている状態。妊娠後期の「無痛性性器出血」を特徴とし、経腟分娩は不可能で予定帝王切開となる。内診は出血を誘発するため「絶対禁忌」である。