医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
直腸脱は、直腸壁の全層が肛門外に反転・脱出した状態である。高齢女性に多く、骨盤底筋群の脆弱化が背景にある。粘膜のみが脱出する「直腸粘膜脱」との鑑別が重要である。
肛門からの脱出物(排便時や立位で悪化)。
排便困難、残便感。
便失禁、粘液排出、出血(粘膜の擦れによる)。
視診(怒責時):同心円状の皺を伴う全層脱出を確認。
指診:肛門括約筋圧の低下(トヌス低下)の確認。
排便造影(ディフェコグラフィ):排便時の直腸の動きや重積の程度を評価する。
保存的治療:便秘の改善、骨盤底筋体操(軽症例)。
外科的治療(根本治療):
①経肛門的手術(Gant-Miwa法):粘膜を絞り込んで固定する(低侵襲で高齢者に適す)。
②経腹的手術(直腸固定術):腹腔鏡下などで直腸を引き上げて仙骨に固定する(再発率が低い)。
病態
直腸を固定する組織の緩みや、ダグラス窩の深化、過度の怒責(いきみ)などにより、直腸が「重積」を起こして肛門外へ滑り出す。高齢者や、多産婦、長期の便秘患者に多い。
試験・臨床での重要ポイント
視診での『同心円状の皺(しわ)』が最大の特徴であり、放射状の皺を呈する粘膜脱(痔核など)との重要な鑑別点となる。また、脱出した直腸が元に戻らなくなると(嵌頓)、壊死のリスクがある。機能的には、肛門括約筋の不全を伴い『便失禁』を合併しやすい。
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。