食道裂孔ヘルニアは、胃の一部が横隔膜の食道裂孔を通って縦隔内(胸腔内)へ脱出する疾患。滑脱型が最も多く、下部食道括約筋(LES)の機能低下により胃食道逆流症(GERD)の主要な原因となる。
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滑脱型:胸やけ、呑酸、心窩部痛、咳嗽(GERD症状。前屈位や食後、就寝時に増悪しやすい)。
傍食道型:無症状のことが多いが、巨大化すると食後膨満感、つかえ感、胸痛。出血による貧血(Cameron潰瘍)。
初期評価
慢性の胸やけや呑酸を訴える患者(特に高齢者や肥満者)で疑う。
検査
『上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)』で噴門部のゆるみ(スコープの反転観察で密着しない)や脱出を確認する。『上部消化管X線造影(バリウム)』で、造影剤が横隔膜より上の胸腔内に留まる所見を確認し、滑脱型か傍食道型かの判定を行う。
治療方針
無症状であれば治療不要(経過観察)。
GERD症状がある滑脱型に対しては、生活指導(食後すぐ横にならない、前屈位を避ける、減量)と、胃酸分泌抑制薬(『PPI』または『P-CAB』)の投与を行う。
内科的治療に抵抗する重症例や、絞扼・出血リスクの高い傍食道型・混合型に対しては、外科的治療(腹腔鏡下Nissen噴門形成術など)が行われる。
病態
加齢、肥満、円背(亀背)などにより横隔膜の食道裂孔がゆるみ、腹圧に負けて胃が胸腔へ押し上げられる。
試験での重要ポイント
分類が重要。
①滑脱型(最多):噴門部と胃底部がそのままスライドして胸腔へ挙上する。LES機能が低下するため『胃酸逆流(胸やけ)』を起こしやすい。
②傍食道型:噴門は正常位置だが、胃底部が横をすり抜けて胸腔へ脱出する。逆流は少ないが、脱出部の絞扼(胃軸捻転)や潰瘍・出血リスクがある。
③混合型:両者の混合。
治療は無症状なら経過観察、GERD症状があればPPI投与が基本。
覚え方・コツ
「食道裂孔ヘルニアは胃が胸に飛び出す病気!一番多い『滑脱型』は胃の入り口(噴門)ごとずり上がるから、蓋がゆるんで胃液が逆流する(胸やけ・GERD)。年寄りで背中が曲がった人(円背)や太った人に多い!」
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。