痔瘻は、歯状線にある肛門腺の感染(肛門周囲膿瘍)が進行し、直腸・肛門管内と肛門周囲の皮膚がトンネル(瘻管)でつながった状態である。自然治癒はせず、外科的手術が唯一の根治法となる。長期放置により「痔瘻癌」が発生するリスクがある。
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初期:肛門周囲の激しい痛み、腫れ、発熱(肛門周囲膿瘍の段階)。
慢性期:肛門周囲の穴から膿や分泌物が出る(下着が汚れる)、繰り返す痛みと腫れ。
指診:瘻管が索状物として触知できる。原発口(歯状線上の陥凹)を確認。
プローブ(探針)検査:外口から探針を入れて走行を確認。
画像診断:MRIや超音波(エコー)が、複雑な瘻管の走行を確認するのに極めて有用。
外科的治療(必須):
①瘻管切開開放術(レイオフ法):単純な痔瘻に対し、トンネルを切り開く(再発が少ないが、括約筋損傷に注意)。
②『シートン法』:瘻管に輪ゴムを通し、数ヶ月かけて徐々に締め直す。組織の再生を待ちながら切るため括約筋の機能が保たれる。
③括約筋温存手術(くりぬき法など)。
病態
下痢などをきっかけに、歯状線の『肛門陰窩(いんか)』から細菌が進入し、肛門腺で化膿する(肛門周囲膿瘍)。膿が自潰または切開排膿された後、その通り道が上皮化してパイプ状に残ったものが痔瘻である。
試験・臨床での重要ポイント
瘻管の走行を予測する『Goodsall(グッズオール)の法則』が有名。肛門を通る水平線より後方の外口は「背側中央(6時方向)」の原発口へカーブして進み、前方の外口は最短距離で原発口へ進む。
治療の基本は手術であり、括約筋温存を目的とした『シートン法(ゴムを通して徐々に切る)』が、術後の便失禁リスクを低減させるため多用される。また、10年以上の長期経過例では、瘻管から癌が発生する(痔瘻癌)ため、粘液性の分泌物等には厳重な警戒が必要。
覚え方・コツ
「痔瘻は『お尻の奥と外を繋ぐ、バイキンの作ったトンネル』!始まりは歯状線のクボミ(陰窩)。一度トンネルができると薬では治らない。放置するとガンになる(痔瘻癌)から要注意!手術の『シートン法』は、ゴムでゆっくり切ることで、括約筋を一度に壊さず便失禁を防ぐ賢いやり方だ!」
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内痔核は、歯状線より「口側(上側)」の粘膜下血管叢がうっ滞・肥大し、支持組織が緩んで脱出・出血をきたす状態である。痛みは少ないが、排便時の鮮血便や脱出が主な症状となる。Goligher分類による重症度判定が治療選択の指標となる。
直腸脱は、直腸壁の全層が肛門外に反転・脱出した状態である。高齢女性に多く、骨盤底筋群の脆弱化が背景にある。粘膜のみが脱出する「直腸粘膜脱」との鑑別が重要である。
腸結核は、結核菌が腸管(主に回盲部)に感染・増殖し、慢性的な炎症と潰瘍を形成する疾患である。活動性の肺結核に合併することが多く、内視鏡検査での「輪状潰瘍」と生検での「乾酪壊死を伴う肉芽腫」が特徴的である。
胆嚢腺筋腫症は、胆嚢の粘膜上皮が筋層内に深く入り込んで「Rokitansky-Aschoff洞(RAS)」と呼ばれる小嚢胞を形成し、胆嚢壁が肥厚する良性疾患である。エコーでの「コメット様エコー」が特徴的で、胆嚢癌との鑑別が重要となる。