偽性腸閉塞(Ogilvie症候群)は、腫瘍などの物理的な閉塞起点がないにもかかわらず、大腸(特に右半結腸〜横行結腸)が著明に拡張する急性病態である。高齢者や基礎疾患を持つ長期臥床者に好発し、穿孔リスクがあるため早急な減圧が必要となる。
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著明な腹部膨満感(ガス貯留による太鼓腹)。
腹痛、悪心・嘔吐、排便・排ガスの停止。
※穿孔した場合は激しい腹痛(汎発性腹膜炎)とショック症状を呈する。
画像診断(必須):腹部X線・CTにて、盲腸から横行結腸にかけての著明な大腸ガス貯留・拡張を認めるが、明らかな閉塞起点(腫瘍や捻転など)を認めない。
保存的治療(初期):絶食、補液、電解質補正(低カリウム血症の是正)、原因薬剤(抗コリン薬など)の中止、胃管挿入による減圧。
薬物療法:副交感神経刺激薬である『ネオスチグミン』の静注(徐脈に注意が必要)。
内視鏡的減圧術:薬物療法が無効、または盲腸径が大きく穿孔の危険が迫っている場合、『大腸内視鏡下での脱気・減圧チューブ留置』を行う。
病態
自律神経(交感神経と副交感神経)のバランス崩壊が原因と考えられている。副交感神経の働きが低下し、腸管の蠕動運動が麻痺することで、ガスや内容物が貯留し大腸が異常拡張する。
試験・臨床での重要ポイント
「高齢者、寝たきり、重症感染症、外傷・手術後」などの背景が超頻出。
画像上は腸閉塞(イレウス)の所見(大腸の著明なガス貯留)を呈するが、造影CTなどで『器質的(物理的)な閉塞部位が存在しない』ことが診断の決定打となる。盲腸の径が9〜12cmを超えると穿孔の危険性が極めて高くなる。
覚え方・コツ
「Ogilvie(オギルビー)症候群は『詰まってないのに風船みたいに膨らむ大腸』!寝たきりのお年寄りや大手術の後に起きる。原因は神経のサボり(副交感神経低下)。大腸が破裂する前に、ネオスチグミン(副交感神経刺激)を打つか、大腸カメラで空気を抜け!」
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。