胃癌は、胃粘膜上皮から発生する悪性腫瘍であり、日本人に非常に多い癌の一つである。初期は無症状であることが多く、進行すると心窩部痛や体重減少、吐血などをきたす。ピロリ菌感染が最大の危険因子であり、CBTや医師国家試験では転移の形式(Virchow転移など)や内視鏡所見が極めて頻出の重要疾患である。
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無症状(早期癌の多くは健診で偶然発見される)
心窩部痛、胃部不快感(食後に増悪することがある)
食欲不振、体重減少(進行癌)
悪心、嘔吐(腫瘍による幽門部狭窄)
吐血、黒色便(タール便)、貧血(腫瘍からの出血による)
初期評価
健康診断での異常指摘や、持続する心窩部痛、体重減少、黒色便などの症状があればこの疾患を疑う。
検査
上部消化管内視鏡検査(胃カメラ)と生検による病理組織学的診断が確定診断に必須である。胃X線造影検査ではニッチ(壁外突出像)や隆起性病変を確認する。進行度評価のために造影CT検査を行い、リンパ節転移や遠隔転移(肝臓、肺など)の有無を調べる。
鑑別
鑑別でよく出るのは、胃潰瘍(良性潰瘍との内視鏡的・病理学的な鑑別が極めて重要)、胃MALTリンパ腫、胃粘膜下腫瘍(GISTなど)、および胃アニサキス症(急激な激痛)である。
初期対応
リンパ節転移の可能性が極めて低い早期胃癌(粘膜内にとどまり潰瘍を伴わない分化型癌など)に対しては、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)による根治を目指す。
根本治療
ESDの適応外となる早期胃癌や進行胃癌に対しては、外科的切除(胃全摘術または幽門側胃切除術など)およびリンパ節郭清を行う。切除不能な進行・再発胃癌に対しては、全身化学療法(S-1、シスプラチンなどの殺細胞性抗癌剤や、トラスツズマブ、ニボルマブなどの分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬)を行う。
病態
胃粘膜上皮細胞が癌化したもので、組織学的には大部分が腺癌である。進行すると粘膜下層から筋層・漿膜へと深く浸潤し、リンパ節転移、血行性転移(肝転移など)、腹膜播種を起こす。
原因
Helicobacter pylori(ピロリ菌)の持続感染が最大の危険因子である。その他、高塩分食、喫煙、過度の飲酒、萎縮性胃炎などが発症リスクを高める。
分類
組織学的に「分化型(高齢男性に多く、血行性転移しやすい)」と「未分化型(若年女性にも見られ、腹膜播種しやすい)」に大別される。肉眼分類として早期胃癌(0型)と進行胃癌(1〜4型:Borrmann分類)がある。
試験での重要ポイント
転移の固有名称として、Virchow転移(左鎖骨上窩リンパ節)、Schnitzler転移(ダグラス窩)、Krukenberg腫瘍(卵巣)、Sister Mary Joseph結節(臍部)は国試・CBTで毎年問われる絶対暗記項目である。未分化型腺癌がびまん性に浸潤する「スキルス胃癌(Borrmann 4型)」は、胃壁が硬化・肥厚し予後不良である点も頻出である。
覚え方・コツ
「胃ガンの転移は、左の首(ウィルヒョウ)、お腹の底(シュニッツラー)、卵巣(クルッケンベルグ)。若年女性のスキルス(未分化型)は腹膜播種に要注意!」
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下部消化管出血は、トライツ靱帯より肛門側(主に大腸)からの出血である。大腸憩室出血、虚血性腸炎、大腸癌、痔核などが主な原因となり、胃酸の影響を受けないため鮮血や暗赤色便を呈する。
上部消化管出血は、トライツ靱帯(十二指腸空腸曲)より口側の消化管(食道、胃、十二指腸)からの出血である。胃・十二指腸潰瘍、胃癌、食道・胃静脈瘤、マロリー・ワイス症候群などが主な原因となる。
消化管穿孔は、胃や十二指腸、大腸などの消化管壁に全層性の穴が開き、胃酸、腸液、便などが無菌状態の腹腔内に漏れ出す超緊急疾患。急激な汎発性腹膜炎を引き起こし、敗血症性ショックに至るため、原則として緊急手術の適応となる。
虚血性腸炎は、大腸粘膜の微小血管の血流が一時的に低下し、腸管粘膜が虚血・炎症・潰瘍を起こす疾患。便秘傾向のある高齢女性に多く、「突然の左下腹部痛」に続く「下痢・鮮血便」が典型的な三徴である。多くは一過性で、保存的治療で自然軽快する。