閉鎖孔ヘルニアは、骨盤の閉鎖孔(閉鎖神経の通り道)から腸管が脱出する外疝痛の一種。高齢・痩せ型の女性に好発し、初期には閉鎖神経の圧迫による膝内側までの痛み(Howship-Romberg徴候)を呈し、嵌頓すると絞扼性イレウスを引き起こす。
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Howship-Romberg徴候:大腿内側から膝にかけての放散痛・しびれ。
絞扼性イレウス症状:突然の激しい腹痛、嘔吐、腹部膨満、排便・排ガスの停止。
※体表からはヘルニアの隆起は触知できない(深部のため)。
身体所見:Howship-Romberg徴候の確認(股関節の運動で誘発)。
画像診断(必須):『腹部造影CT』。恥骨筋と外閉鎖筋の間のヘルニア門、および脱出腸管の確認。腸管壁の造影効果(血流障害)の評価。
原則として『緊急手術』。嵌頓(元に戻らない状態)になりやすく、壊死のリスクが高いため。開腹または腹腔鏡により腸管を還納し、閉鎖孔を縫合またはメッシュで閉鎖する。腸管が壊死していれば切除を行う。
病態
閉鎖孔を覆う閉鎖膜が加齢や体重減少で緩み、隙間から腸管(主に回腸)が脱出する。脂肪が少ない痩せた高齢女性に多く、その体型から「小鳥のようなお婆ちゃん(Little old lady)」のヘルニアとも呼ばれる。
試験・臨床での重要ポイント
最大の特徴は『Howship-Romberg(ハウシップ・ロンベルグ)徴候』。ヘルニア嚢が閉鎖神経を圧迫するため、「大腿内側から膝にかけての痛みやしびれ」が生じ、股関節を伸ばしたり(伸展)、内側にひねったり(内旋)すると増悪する。
診断は『腹部CT』。恥骨筋と外閉鎖筋の間に脱出した腸管を認めるのが決め手。嵌頓しやすいため、イレウス症状があれば直ちに緊急手術の適応となる。
覚え方・コツ
「閉鎖孔ヘルニアは『痩せたおばあちゃんの足の付け根の痛み』!足を開くと痛みが走る(H-R徴候)のがサイン。場所は『恥骨筋』と『外閉鎖筋』の間!CTを撮らないと見逃しやすいけど、放置すると腸が腐る(絞扼性イレウス)から、見つけたらすぐ手術だ!」
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Boerhaave(ブールハーフェ)症候群は、激しい嘔吐などの急激な食道内圧上昇により、健康な食道の全層が破裂する緊急疾患である。強烈な胸痛と背部痛をきたし、縦隔炎から敗血症へ進行するため、24時間以内の緊急手術が救命の鍵となる。
複雑性腸閉塞は、物理的な腸管の閉塞に加えて「腸間膜の血管が締め付けられ、血流障害を伴う」極めて危険な状態である。数時間で腸管が壊死・穿孔し、敗血症性ショックに至るため、一刻も早い緊急手術の絶対適応となる。
麻痺性イレウスは、腸管そのものに物理的な閉塞物はないが、自律神経の反射や電解質異常などにより腸管全体の蠕動運動が消失し、内容物が停滞する状態である。開腹手術の術後や腹膜炎の合併症として頻繁にみられる。
痙攣性イレウスは、機能性腸閉塞の一種であり、腸管の局所が過度に痙攣・収縮(縮瞳)し続けることで、内容物の通過が妨げられる稀な病態である。鉛中毒や腹部への鈍的打撲などを原因とする。