大腿骨頸部骨折は、高齢者が転倒した際に生じやすい股関節の骨折。関節包(関節の袋)の「内側」で折れるため、骨頭を栄養する血流が絶たれやすく、「大腿骨頭壊死」や「偽関節(骨がくっつかない)」のリスクが極めて高い。寝たきりの原因となるため早期の手術が必要。
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受傷直後からの股関節の激痛、歩行起立不能。
患肢の変形:『短縮・外旋位』。
※転子部骨折に比べると、内出血が関節包内に留まるため、外見上の腫れや皮下出血が少ない傾向がある。
単純X線(正面・軸位):骨折線の確認。骨折のズレ(転位)の程度を『Garden(ガーデン)分類』で評価する。
MRI・CT:X線で骨折線が不明瞭な不全骨折(ヒビ)の検出にT1強調画像の低信号が有用。
保存的治療は原則行わない(長期臥床による肺炎、DVT、認知症進行などの合併症を防ぐため)。
外科的治療(早期離床・早期リハビリが目的):
①転位のない骨折(Garden I, II):ネジで固定する『骨接合術(CCHS等)』。
②転位のある骨折(Garden III, IV)の高齢者:『人工骨頭置換術(BHA)』または『人工股関節全置換術(THA)』。※若年者では骨頭温存を目指して骨接合術を試みる。
病態
大腿骨頭を栄養する主要な血管(内側大腿回旋動脈の枝)は、頸部の下から上に向かって関節包内を走行している。そのため、頸部で骨折するとこの血管がちぎれ、骨頭が腐ってしまう(無腐性骨頭壊死)。
試験・臨床での重要ポイント
関節包の「外」で折れる『大腿骨転子部骨折』との鑑別が超頻出。
①『頸部骨折(関節包内)』=血流が悪い、骨がくっつきにくい。ズレが大きい場合は『人工骨頭置換術(BHA)』を行う(自分の骨を諦めて金属に替える)。
②『転子部骨折(関節包外)』=血流が豊富、骨はくっつきやすい。金属の板や釘で固定する『骨接合術(CHSや髄内釘)』を行う。
患肢は『短縮・外旋位(脚が短くなり、つま先が外を向く)』をとるのが特徴的な身体所見。
覚え方・コツ
「大腿骨頸部骨折は『お年寄りの転倒で寝たきりになる骨折の代表』!足が短くなって、つま先が外側(ガニ股)にダランと倒れていたらコレだ。関節の袋の『中(頸部)』で折れると、血が通わなくなって骨の頭が腐る(骨頭壊死)!だからネジで留めても無駄なことが多く、スパッと『人工の骨(BHA)』に入れ替えるのが正解!袋の『外(転子部)』ならネジ(骨接合)で留めろ!」
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椎体圧迫骨折は、脊椎の椎体(主に前側)が潰れるように骨折する病態。骨粗鬆症の高齢者に好発し、尻餅をつくなどの軽微な外傷、あるいは自覚的な外傷なしで発症する。背中が丸くなる円背(亀背)の原因となる。
橈骨遠位端骨折は、手首の骨折であり、高齢の骨粗鬆症患者に多発する。手のひらをついて転倒した際に生じる「Colles(コーレス)骨折」が圧倒的に多く、遠位骨片が背側(手の甲側)へズレてフォーク状の変形を呈する。
臍ヘルニアは、へその輪(臍輪)が閉鎖不全や脆弱化により、腹腔内内容物が突出した状態である。小児の先天性と大人の後天性があり、大人では肝硬変による腹水や肥満が原因となることが多い。
多指症(たししょう)は、手や足の指の数が正常(5本)よりも多い先天性の形態異常。生まれつきの四肢異常の中で最も頻度が高い。単独で発生することもあれば、他の遺伝性疾患(パトー症候群など)の部分症として現れることもある。