複雑性腸閉塞は、物理的な腸管の閉塞に加えて「腸間膜の血管が締め付けられ、血流障害を伴う」極めて危険な状態である。数時間で腸管が壊死・穿孔し、敗血症性ショックに至るため、一刻も早い緊急手術の絶対適応となる。
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突然発症する持続的な激しい腹痛(単純性のような間欠痛ではない)。
悪心・嘔吐、血便。
ショック症状(頻脈、血圧低下、冷汗)、発熱。
腹膜刺激症状(筋性防御、反跳痛)。
血液検査:白血球の著増(または消耗による減少)、CRP上昇、CK・LDH上昇。代謝性アシドーシス、乳酸値上昇(腸管壊死のサイン)。
腹部造影CT(診断の要):腸管壁の造影不良(血流途絶)、腹水貯留、Whirl sign、Beak sign、closed loopの存在。
緊急手術(絶対適応):直ちに開腹手術を行い、絞扼の解除を行う。血流が再開せず壊死が不可逆的と判断された場合は、壊死腸管を切除し吻合または人工肛門造設を行う。
全身管理:術前・術後を通じた敗血症性ショックに対する大量輸液、広域抗菌薬の投与。
病態
腸捻転(腸がねじれる)、ヘルニア嵌頓(飛び出した腸が戻らなくなる)、索状物(ヒモ状の癒着)による絞扼などが原因。動脈・静脈が遮断されるため、腸管壁が急速に壊死する。
試験・臨床での重要ポイント
単純性腸閉塞との鑑別が生命を左右する。
『間欠痛ではなく「持続的な激痛」』、『発熱、頻脈、ショック』、『腹膜刺激症状(筋性防御など)の存在』、『白血球・CRPの異常高値、CK・LDH上昇、乳酸値上昇』があれば絞扼性を強く疑う。
造影CTでのサインが国試の画像問題で超頻出:腸管の壁が染まらない(造影不良)、腸管がU字型・C字型に閉塞する『closed loop(閉鎖腔)』、腸間膜の血管が渦巻き状にねじれる『Whirl sign(ワールサイン)』、腸管がくちばし状に細くなる『Beak sign』。
覚え方・コツ
「絞扼性イレウスは『腸の首絞め事件』!ただの便秘(単純性)ではなく、血管が首を絞められて腸が死にかけている状態。痛みが『持続的で激烈』なら即CT!CTで血管が渦を巻いてる(Whirl sign)のを見つけたら、イレウス管なんか入れてる暇はない!ただちにお腹を開けて(緊急手術)、腐った腸を切り取れ!」
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閉鎖孔ヘルニアは、骨盤の閉鎖孔(閉鎖神経の通り道)から腸管が脱出する外疝痛の一種。高齢・痩せ型の女性に好発し、初期には閉鎖神経の圧迫による膝内側までの痛み(Howship-Romberg徴候)を呈し、嵌頓すると絞扼性イレウスを引き起こす。
Boerhaave(ブールハーフェ)症候群は、激しい嘔吐などの急激な食道内圧上昇により、健康な食道の全層が破裂する緊急疾患である。強烈な胸痛と背部痛をきたし、縦隔炎から敗血症へ進行するため、24時間以内の緊急手術が救命の鍵となる。
麻痺性イレウスは、腸管そのものに物理的な閉塞物はないが、自律神経の反射や電解質異常などにより腸管全体の蠕動運動が消失し、内容物が停滞する状態である。開腹手術の術後や腹膜炎の合併症として頻繁にみられる。
痙攣性イレウスは、機能性腸閉塞の一種であり、腸管の局所が過度に痙攣・収縮(縮瞳)し続けることで、内容物の通過が妨げられる稀な病態である。鉛中毒や腹部への鈍的打撲などを原因とする。