Boerhaave(ブールハーフェ)症候群は、激しい嘔吐などの急激な食道内圧上昇により、健康な食道の全層が破裂する緊急疾患である。強烈な胸痛と背部痛をきたし、縦隔炎から敗血症へ進行するため、24時間以内の緊急手術が救命の鍵となる。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
激しい嘔吐の直後に起こる、前胸部から心窩部の激烈な痛み、背部痛。
皮下気腫:頸部や前胸部を触るとパチパチと音がする(雪握感)。
呼吸困難、頻脈、血圧低下(ショック)。
画像診断:胸部X線・CTで『縦隔気腫(心臓の周りの空気)』、『皮下気腫』、『左側優位の胸水』を確認。
食道造影:水溶性造影剤(ガストログラフィン)を用いて、食道外への漏出を確認(確定診断)。※バリウムは縦隔炎を悪化させるため禁忌。
原則として『24時間以内の緊急手術』。開胸(または胸腔鏡)により、縦隔の洗浄・ドレナージ、および食道穿孔部の縫合閉鎖を行う。時間が経過している場合は食道外置術なども検討される。
絶食、広域抗菌薬、大量輸液、全身管理。
病態
飲酒後の激しい嘔吐などで、食道の下部(特に左側壁)が縦方向に裂ける。マロリー・ワイス症候群が「粘膜のみ」の傷で吐血がメインなのに対し、こちらは「全層」が破れるため、胃内容物が縦隔(胸の中)に漏れ出して致死的な炎症を起こすのが最大の違い。
試験・臨床での重要ポイント
『Mackler(マックラー)の三徴:①激しい嘔吐、②突発する激痛、③皮下気腫』が絶対のキーワード。聴診では心拍に一致して聞こえる捻髪音『Hamman's crunch(ハマンズ・クランチ)』が有名。
胸部X線やCTで『縦隔気腫』や『左胸水』を認めたら直ちに疑う。※全層破裂なので、嘔吐物に血が混じらない(吐血がない)ことも多いのが注意点。
覚え方・コツ
「Boerhaaveは『嘔吐で食道が全層爆発した大事件』!左側の食道が裂ける。マロリーワイス(粘膜だけ)と違って、お腹じゃなくて『胸が激しく痛む』のが特徴。首の周りがパチパチ鳴る『皮下気腫』を見つけたらビンゴ!一刻も早くお腹(胸)を開けて洗わないと、縦隔炎で死ぬ!」
ここで読んだ内容を、AIや関連コンテンツでそのまま深掘りできます。
閉鎖孔ヘルニアは、骨盤の閉鎖孔(閉鎖神経の通り道)から腸管が脱出する外疝痛の一種。高齢・痩せ型の女性に好発し、初期には閉鎖神経の圧迫による膝内側までの痛み(Howship-Romberg徴候)を呈し、嵌頓すると絞扼性イレウスを引き起こす。
複雑性腸閉塞は、物理的な腸管の閉塞に加えて「腸間膜の血管が締め付けられ、血流障害を伴う」極めて危険な状態である。数時間で腸管が壊死・穿孔し、敗血症性ショックに至るため、一刻も早い緊急手術の絶対適応となる。
麻痺性イレウスは、腸管そのものに物理的な閉塞物はないが、自律神経の反射や電解質異常などにより腸管全体の蠕動運動が消失し、内容物が停滞する状態である。開腹手術の術後や腹膜炎の合併症として頻繁にみられる。
痙攣性イレウスは、機能性腸閉塞の一種であり、腸管の局所が過度に痙攣・収縮(縮瞳)し続けることで、内容物の通過が妨げられる稀な病態である。鉛中毒や腹部への鈍的打撲などを原因とする。