麻痺性イレウスは、腸管そのものに物理的な閉塞物はないが、自律神経の反射や電解質異常などにより腸管全体の蠕動運動が消失し、内容物が停滞する状態である。開腹手術の術後や腹膜炎の合併症として頻繁にみられる。
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腹部膨満感(ガス貯留による)。
悪心、嘔吐。
腹痛は通常、持続性の鈍痛・膨満痛であり、機械的腸閉塞のような激しい疝痛はない。
排便・排ガスの停止。
身体所見:著明な腹部膨満、聴診で『腸蠕動音の消失(サイレント・アブドメン)』。
血液検査:原因検索として電解質(特に低カリウム血症)、炎症反応をチェック。
画像診断:腹部X線で小腸から大腸まで広範なガス貯留(鏡面像を伴うこともある)。CTで物理的な閉塞起点がないことを確認する。
保存的治療(基本):絶食、補液、胃管・イレウス管による減圧。
原因の除去:低カリウム血症の補正、原因薬剤の投与中止。腹膜炎がある場合は原疾患の治療。
薬物療法:腸管運動促進薬(パントテン酸、大建中湯などの漢方薬)、副交感神経刺激薬などを用いて蠕動の回復を促す。
病態
交感神経の過緊張や副交感神経の抑制により、平滑筋の運動が停止する。原因として、①開腹手術後(手術侵襲による反射)、②腹膜炎(炎症の波及)、③電解質異常(低カリウム血症)、④薬剤性(抗コリン薬、オピオイド鎮痛薬など)、⑤重症感染症・敗血症、などがある。
試験・臨床での重要ポイント
機械的腸閉塞(単純性など)との最大の違いは、『腸蠕動音が「消失・低下」する』こと(機械的は金属音など亢進する)。
また、画像所見でも、機械的が閉塞部位の口側だけ拡張するのに対し、麻痺性イレウスは『胃から小腸、大腸に至るまで「全体的」にガスが貯留・拡張』するのが特徴的である。
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閉鎖孔ヘルニアは、骨盤の閉鎖孔(閉鎖神経の通り道)から腸管が脱出する外疝痛の一種。高齢・痩せ型の女性に好発し、初期には閉鎖神経の圧迫による膝内側までの痛み(Howship-Romberg徴候)を呈し、嵌頓すると絞扼性イレウスを引き起こす。
Boerhaave(ブールハーフェ)症候群は、激しい嘔吐などの急激な食道内圧上昇により、健康な食道の全層が破裂する緊急疾患である。強烈な胸痛と背部痛をきたし、縦隔炎から敗血症へ進行するため、24時間以内の緊急手術が救命の鍵となる。
複雑性腸閉塞は、物理的な腸管の閉塞に加えて「腸間膜の血管が締め付けられ、血流障害を伴う」極めて危険な状態である。数時間で腸管が壊死・穿孔し、敗血症性ショックに至るため、一刻も早い緊急手術の絶対適応となる。
痙攣性イレウスは、機能性腸閉塞の一種であり、腸管の局所が過度に痙攣・収縮(縮瞳)し続けることで、内容物の通過が妨げられる稀な病態である。鉛中毒や腹部への鈍的打撲などを原因とする。