糖尿病で多尿・口渇・ケトンが出る理由|インスリン不足から病態をつなぐ
尿糖による浸透圧利尿と、インスリン不足によるケトン産生を分けて説明します。脱水や血清Kの変化まで、因果関係をたどって確認します。
糖尿病の症状を「多飲、多尿、体重減少」と並べて覚えても、それぞれがどの変化を示すのか説明できないことがあります。ここでは血糖と尿、脂肪代謝、電解質を三本の経路として整理します。すべての糖尿病患者に同じ症状が現れるわけではありません。
高血糖から尿糖、尿量増加へ
血液中の糖は糸球体で濾過された後、多くが尿細管で再吸収されます。血糖が高くなり、再吸収しきれない糖が尿中に残ると、溶質とともに水が排泄されやすくなります。これが浸透圧利尿です。「腎臓が壊れたから多尿」という説明だけでは、糖による水の喪失を捉えられません。
水を失うと口渇が強まり、飲水が追い付かなければ脱水が進みます。重い脱水や腎機能悪化が進めば、初期の多尿から尿量が減ることもあります。昨日は多尿だったという情報だけで、現在も十分な尿が出ていると判断しないようにします。
糖が多いのに脂肪を分解するのはなぜか
血液に糖が豊富でも、インスリン作用が不足していれば、組織での利用や肝の代謝調節がうまく働きません。脂肪組織から脂肪酸が供給され、肝でケトン体が増えることがあります。血中の糖の量と、各組織で利用できる状態は別の情報です。
ただし尿糖がある人すべてにケトアシドーシスがあるわけではありません。残るインスリン作用や食事、薬剤、感染などによって経路の強さが変わります。糖尿病型の検査値だけから、ケトンの有無を推測しきらないことが大切です。