定義と要点
電解質自由水クリアランスは、尿中のNa⁺とK⁺に対してどれだけ水を排泄しているかを表す指標である。よく用いられる近似はCₑH₂O=V×{1−(Uₙₐ+Uₖ)/Pₙₐ}で、Vは尿量、Uは尿中濃度、Pは血漿濃度である。尿によるNa・Kと水の出入りが血清Naへ向かう影響を考えるもので、尿全体の浸透圧濃度から計算する自由水クリアランスとは異なる。
どの量を見ているか
同じ1 Lの尿でも、Na⁺+K⁺が少なければ血漿に比べ水を多く失う方向となる。Na⁺+K⁺が多ければ電解質を相対的に多く排泄する。尿の浸透圧には尿素なども含まれるため、濃い尿が出ていることと、電解質に対して水を保持していることは同じではない。尿素排泄が大きい状態では、尿浸透圧が高くてもNa⁺・K⁺に対しては水の排泄が多い場合がある。
仕組みを順に考える
血清Na濃度は交換可能なNa・Kと体内水の関係に強く影響される。式は、この関係を尿の出力側だけに当てはめて理解する近似である。CₑH₂Oが正なら、尿による電解質自由水の喪失は血清Naを上げる方向に働く。負なら、その尿の排泄は血清Naを下げる方向の寄与を持つ。ただし実際の血清Naは飲水、輸液、消化管喪失、不感蒸泄、細胞内外の移動などでも変わるため、符号だけでは将来値を決められない。
数値・症例で確かめる
教育用の例として、Pₙₐ140 mmol/L、尿量2 L/日、Uₙₐ30、Uₖ40 mmol/Lなら、CₑH₂O=2×(1−70/140)=1 L/日となる。これは尿2 Lのうち1 Lが、Na・Kとの比でみた自由水に相当するという分解である。Na・Kの和が210なら2×(1−210/140)=−1 L/日になる。負の値は尿が逆流する意味ではなく、電解質に対する水の相対的な保持を表す。
解釈の限界
従来の式は近似であり、Edelmanの関係の切片や浸透圧的に非活性なNa・Kなどを考慮した修正式も提案されている。単一の随時尿を一日全体へ外挿すると、尿量や尿電解質が変動する場面では誤差が大きい。Naの単位と尿量の時間単位をそろえ、Kを式から落とさない。重症の低Na・高Na血症の補正速度を、この式一つで処方することはできず、実測値の反復と全身の入出量評価が必要になる。