無気肺は、肺の一部または広い範囲で含気が減り、肺容量が小さくなった状態である。気道閉塞、胸水などによる圧迫、術後の浅い呼吸などが原因となる。胸部画像の陰影だけでなく、容積減少と原因を確認する。
最終更新日: 2026年10月27日
無気肺は、肺の一部または広い範囲で含気が減り、肺容量が小さくなった状態である。気道閉塞、胸水などによる圧迫、術後の浅い呼吸などが原因となる。胸部画像の陰影だけでなく、容積減少と原因を確認する。
気管支が痰・腫瘍・異物などで閉塞すると、その末梢に新しい空気が届かず、肺胞内のガスが吸収されて肺が縮む。胸水や腫瘤による外からの圧迫、サーファクタントの異常、術後の痛みや筋力低下による浅い呼吸なども関与する。複数の要因が重なることも多い。
換気が減った領域にも血流が残ると、血液が十分に酸素化されずシャント様の病態となる。虚脱の範囲が小さければ症状は軽いが、広ければ低酸素血症や呼吸仕事量の増大を生じる。痰を排出できない背景や閉塞の原因まで考えることが重要である。
無症状で画像から見つかる場合も、息切れ、頻呼吸、咳、低酸素血症を認める場合もある。病変部の呼吸音が弱くなることがある。症状の強さは範囲、発症速度、もともとの肺機能に左右される。
急な呼吸困難やSpO2低下があれば、無気肺以外に気胸、肺血栓塞栓症、肺水腫、誤嚥なども評価する。術後に発熱したという理由だけで無気肺を原因と決め、感染や他の合併症の検索を省略しない。
胸部X線では陰影に加え、葉間裂の移動、横隔膜挙上、血管・気管支の集まり、縦隔の偏位など容積減少の手掛かりを探す。単純な閉塞性の容積減少では周囲が病変側へ引かれることがあるが、大量胸水などが併存すれば偏位は異なる。
CTで気道閉塞の原因や肺の構造を調べ、病状に応じて超音波・気管支鏡などを検討する。肺炎の浸潤影と併存することもあり、画像の濃さだけで感染の有無を判断しない。持続・反復する局所の無気肺では、腫瘍や異物などの閉塞原因を確認する。
気胸は胸膜腔に空気がたまる病態で、無気肺は肺の含気と容積が減る状態を表す。気胸の圧迫によって無気肺を生じることはあるが、同じ病名ではない。胸腔内の空気の有無、肺の辺縁、呼吸・循環への影響を確認する。
肺炎では肺胞内の炎症性物質などで陰影が生じる。無気肺でも感染を合併しうるため、病歴、喀痰、発熱、検査、容積変化を組み合わせる。無気肺があるだけで抗菌薬が必須になるわけではない。
原因への対応と、肺を広げ分泌物を排出しやすくする支援を行う。術後などでは適切な鎮痛、体位変換、可能な範囲での離床、深い呼吸と咳の支援を組み合わせる。呼吸練習器を渡すだけで十分とせず、実際に使えているか、痛みや疲労が妨げていないかを確認する。
痰の閉塞が強い場合は吸引などを検討し、持続する閉塞では気管支鏡による評価・処置が必要なことがある。胸水や腫瘍などが原因ならその病態を治療する。低酸素血症には酸素を用い、呼吸障害が強い場合は陽圧による呼吸補助なども専門的に判断する。気道閉塞や循環状態を確認せず、一律に強い呼吸練習を行うものではない。
腹部手術後に痛みで深呼吸できず、痰が増え、画像で下肺野の容積減少がみられた場合は無気肺を考える。鎮痛と排痰・離床支援を行いつつ、感染や胸水なども確認する。同じ肺葉の無気肺が繰り返す場合は、単なる痰の問題とせず閉塞原因を検索する。
術後の呼吸状態は、痛み、鎮静薬、筋力、体位、分泌物、輸液など多くの要因で変わる。胸部画像に無気肺があっても、それだけで低酸素血症をすべて説明できるかを考える。病変の範囲に比べ呼吸障害が強い場合は、他の病態や測定誤差も含めて再評価する。
離床や呼吸練習は、循環の安定性、手術部位、疼痛、酸素化を確認しながら行う。深呼吸できない原因が痛みなら、指示を繰り返すだけでなく鎮痛の調整が必要となる。痰を出せない場合も、筋力、意識、気道閉塞の程度を確認し、必要な支援を選ぶ。
介入後は、呼吸音、呼吸数、SpO2、必要酸素量、喀痰、画像などの変化を追う。画像上の再膨張と症状の改善が一致するかを確かめ、残る局所陰影には閉塞や感染などの原因を再検討する。再発を防ぐには、無気肺そのものだけでなく背景の病態への対応が必要である。
病変が広いほど症状が強い傾向はあるが、基礎肺疾患や筋力低下がある人では小範囲でも影響が大きいことがある。小さな画像所見だから問題ない、と一律に考えない。画像と呼吸・循環の所見を対応させ、介入の必要性を判断する。
胸水は、肺を覆う臓側胸膜と胸壁を覆う壁側胸膜の間の「胸腔内」に液体が異常に貯留した状態である。病名というより症候であり、心不全などの全身要因による「漏出性」と、胸膜炎や癌などの局所要因による「滲出性」に大別して原因を検索する。
肺癌は、気管支や肺胞の上皮から発生する悪性腫瘍であり、日本における癌死因の第1位である。大きく「小細胞癌」と「非小細胞癌(腺癌、扁平上皮癌、大細胞癌)」に分類され、組織型によって治療方針や予後が劇的に異なる。
自然気胸は、外傷などの明らかな誘因なく肺表面のブラ(嚢胞)が破裂し、胸腔内に空気が漏れ出て肺が虚脱する疾患である。若年・痩せ型・長身の男性に好発し、突然の胸痛と呼吸困難で発症する。
肥満低換気症候群(OHS)は、肥満と睡眠呼吸障害があり、他の低換気の原因を除外したうえで、覚醒時にも高二酸化炭素血症を認める状態である。夜間の無呼吸だけの問題ではなく、日中の換気も評価する。
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