Cushing症候群は、副腎皮質からのコルチゾール(糖質コルチコイド)の過剰分泌により、満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満、高血圧、糖尿病など多彩な症状を呈する疾患である。原因病変の部位により、ACTH依存性とACTH非依存性に分類される。
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特異的体型:満月様顔貌(ムーンフェイス)、中心性肥満、野牛肩(バッファローハンプ)。
皮膚症状:皮膚の菲薄化、赤色皮膚線条、皮下溢血、ざ瘡(ニキビ)。
代謝・全身症状:高血圧、耐糖能異常(糖尿病)、骨粗鬆症、筋力低下、月経異常、精神症状(うつ状態)。
スクリーニング検査:血中コルチゾール高値(日内変動の消失:夜間も高い)、尿中遊離コルチゾール高値。
ホルモン負荷試験:『デキサメタゾン(DEX)抑制試験』による原因鑑別。CRH負荷試験。
血液検査:好酸球減少、低カリウム血症(コルチゾールの鉱質コルチコイド作用による)。
画像診断:腹部CT(副腎腫大や腺腫)、頭部MRI(下垂体腺腫)。
外科的治療(第一選択):
Cushing病:経蝶形骨洞的下垂体腫瘍摘出術(Hardyの手術)。
副腎腺腫:腹腔鏡下副腎摘出術。
内科的治療:手術困難例には、ステロイド合成阻害薬(メチラポンなど)を投与する。
病態
コルチゾールが過剰になる原因として、①下垂体腺腫がACTHを過剰分泌する『Cushing病(ACTH依存性)』、②肺小細胞癌などがACTHを分泌する『異所性ACTH産生腫瘍(ACTH依存性)』、③副腎自身の腺腫がコルチゾールを出す『副腎皮質腺腫(ACTH非依存性)』、④ステロイド薬の長期使用による『医原性』がある。
試験・臨床での重要ポイント
視診で一発診断が可能な特有の身体所見が超頻出(満月様顔貌、野牛肩、腹部の赤色皮膚線条)。
原因鑑別のための『デキサメタゾン(DEX)抑制試験』が国試の最重要キーワード。
少量DEXで抑制されなければCushing症候群確定。大量DEXで抑制されれば『Cushing病(下垂体)』、抑制されなければ『異所性ACTH腫瘍』または『副腎腫瘍』と鑑別する。
覚え方・コツ
「Cushing症候群は『ステロイド(コルチゾール)の過剰で体がパンパン・ボロボロになる』病気!顔は満月(ムーンフェイス)、肩に肉がつき(野牛肩)、お腹は太って赤いスジ(赤色皮膚線条)が入る。原因探しの必殺技は『デキサメタゾン抑制試験』!下垂体の腫瘍(Cushing病)なら、大量の薬でなんとかブレーキがかかる(抑制される)と覚えろ!」
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膵神経内分泌腫瘍(PanNET)は、膵臓の内分泌細胞(ランゲルハンス島など)から発生する稀な腫瘍。特定のホルモンを過剰分泌して特有の症状を呈する「機能性腫瘍」と、ホルモン症状を出さない「非機能性腫瘍」がある。MEN1(多発性内分泌腫瘍症1型)の部分症として発症することも多い。
粘液水腫性昏睡は、重度の甲状腺機能低下症(橋本病など)を背景に、寒冷曝露や感染、薬剤などを契機として発症する致死的な病態である。低体温、徐脈、呼吸不全、意識障害を呈する救急疾患。
甲状腺クリーゼは、未治療またはコントロール不良の甲状腺機能亢進症(主にバセドウ病)の患者に、感染、手術、外傷などの強いストレスが加わることで発症する、致死的な甲状腺中毒症の急性増悪状態である。高熱、頻脈、意識障害をきたす超緊急疾患。
Sheehan症候群は、分娩時の大量出血に伴うショックにより、下垂体前葉が虚血・壊死に陥り、汎下垂体機能低下症をきたす疾患である。「産後の乳汁分泌停止」と「無月経」が初発症状となる。