多発性骨髄腫は、骨髄中の形質細胞(抗体を産生する細胞)が腫瘍化し、単クローン性の異常な免疫グロブリン(M蛋白)を過剰産生する疾患。骨破壊による高カルシウム血症や病的骨折、および腎障害を特徴とする血液がんである。
最終更新日: 2026年5月31日
多発性骨髄腫は、骨髄中の形質細胞(抗体を産生する細胞)が腫瘍化し、単クローン性の異常な免疫グロブリン(M蛋白)を過剰産生する疾患。骨破壊による高カルシウム血症や病的骨折、および腎障害を特徴とする血液がんである。
骨・カルシウム症状:腰背部痛(初発症状として最多)、病的骨折、高カルシウム血症に伴う悪心・口渇・意識障害。
腎・血液症状:腎不全(骨髄腫腎)、貧血症状、出血傾向。
易感染性:正常な免疫グロブリンが作れなくなるため、肺炎球菌などの感染症にかかりやすくなる。
過粘稠度症候群:血中M蛋白濃度が高くなりすぎると血流が滞り、頭痛や視力障害をきたす。
血液・尿検査:血清蛋白分画での『Mピーク』、免疫電気泳動での単クローン性免疫グロブリン(IgG, IgAなど)の同定。尿中『Bence Jones蛋白』陽性。高カルシウム血症、腎機能低下、正球性正色素性貧血。
骨髄検査:骨髄中の形質細胞(骨髄腫細胞)が10%以上。
画像診断:全身のX線・CTで『打ち抜き像』や骨粗鬆症、圧迫骨折を確認。
移植適応がある場合(主に65歳以下):ボルテゾミブ(プロテアソーム阻害薬)やレナリドミド(免疫調節薬)、デキサメタゾンなどの導入療法後、『自家造血幹細胞移植』を行う。
移植適応がない場合:上記の新薬(ダラツムマブ等の抗CD38抗体を含む)を組み合わせた多剤併用療法。
骨病変への対症療法:ビスホスホネート製剤やデノスマブにより骨破壊を抑える。
病態
異常な形質細胞(骨髄腫細胞)が骨髄内で増殖し、正常な造血を妨げる。また、破骨細胞を活性化させるサイトカインを放出するため、全身の骨が溶かされる(溶骨性変化)。
試験・臨床での重要ポイント
臓器障害の絶対的キーワードである『CRAB(クラブ)』が超頻出。
【C】HyperCalcemia(高カルシウム血症:骨が溶けるため。口渇・多尿・意識障害)
【R】Renal failure(腎障害:M蛋白の部品である『Bence Jones蛋白(BJP)』が腎臓の尿細管に詰まって尿細管円柱腎症を起こす)
【A】Anemia(貧血:正常造血の抑制)
【B】Bone lesions(骨病変:X線での『打ち抜き像(punched-out lesion)』、腰背部痛、病的骨折)
血液塗抹標本では、M蛋白により赤血球が連なって見える『連銭形成(rouleaux formation)』を認める。産生されるM蛋白はIgG型が最も多い。
覚え方・コツ
「多発性骨髄腫は『抗体工場が暴走して、骨を溶かし腎臓を壊す病気』!異常な抗体(M蛋白)が血や尿に溢れる。絶対暗記のキーワードは『CRAB』!骨が溶けるから痛いし、Caが血に溢れるし、部品(BJP)が腎臓に詰まる。レントゲンで頭蓋骨に穴がボコボコ空く『打ち抜き像』が画像問題の決定打だ!治療はプロテアソーム阻害薬の『ボルテゾミブ』が主役!」
白血球減少症は、末梢血の白血球数が基準値(通常4000/μL未満)を下回る状態。臨床的に最も問題となるのは、細菌感染の防御を担う「好中球」の減少(好中球数1500/μL未満)であり、500/μL未満になると「無顆粒球症」と呼ばれ、致死的な感染症のリスクとなる。
非ホジキンリンパ腫は、ホジキンリンパ腫以外の全ての悪性リンパ腫の総称であり、日本のリンパ腫の90%以上を占める。B細胞性、T/NK細胞性に大別され、節外病変(胃、腸、甲状腺など)が多く、非連続性に飛び石のように転移する特徴がある。
慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞の染色体異常(フィラデルフィア染色体)によって生じる骨髄増殖性腫瘍。異常なチロシンキナーゼ(BCR-ABL)が作られ、白血球(特に顆粒球系)が自律性に過剰増殖する。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場により予後が劇的に改善した。
慢性リンパ性白血病は、形態的に成熟した小型のBリンパ球が異常増殖し、末梢血や骨髄、リンパ節に蓄積する低悪性度の血液腫瘍。欧米の白血病では最多だが、日本人には極めて稀である。進行が非常に緩徐であり、無症状の場合は治療を行わず経過観察される。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。