菌状息肉症は、皮膚指向性を持つCD4陽性T細胞が皮膚に浸潤・増殖する低悪性度の非ホジキンリンパ腫(皮膚T細胞リンパ腫の代表)である。数年から数十年かけて紅斑期、扁平浸潤期、腫瘍期へと緩徐に進行する。病理組織での「Pautrier(ポートリエ)微小膿瘍」が特徴的。
最終更新日: 2026年4月24日
菌状息肉症は、皮膚指向性を持つCD4陽性T細胞が皮膚に浸潤・増殖する低悪性度の非ホジキンリンパ腫(皮膚T細胞リンパ腫の代表)である。数年から数十年かけて紅斑期、扁平浸潤期、腫瘍期へと緩徐に進行する。病理組織での「Pautrier(ポートリエ)微小膿瘍」が特徴的。
進行に伴い3期に分けられる。
①紅斑期:境界明瞭な紅斑。湿疹と誤診されやすい。強いそう痒を伴うことが多い。
②扁平浸潤期:紅斑が硬く隆起し、局面(プラーク)を形成する。
③腫瘍期:キノコ状・半球状の腫瘤を形成し、表面が潰瘍化する。この時期になるとリンパ節腫脹や内臓への浸潤をきたし予後不良となる。
初期評価:難治性の湿疹様病変、特に光の当たらない部位(非露光部)の病変から疑う。
皮膚生検:真皮上層〜表皮への異型リンパ球(CD4+ T細胞)の帯状浸潤(epidermotropism)と、『Pautrier微小膿瘍』の形成を証明する。
血液検査:末梢血塗抹標本で『セザリー細胞(脳回状核を持つ異型リンパ球)』の有無を確認し、病期(セザリー症候群への移行)を評価する。
早期(紅斑期・扁平浸潤期):『皮膚指向性療法』が中心。副腎皮質ステロイド外用、紫外線療法(PUVA療法、ナローバンドUVB)、電子線局所照射を行う。
進行期(腫瘍期以降、セザリー症候群):『全身療法』に切り替える。抗CCR4抗体(モガムリズマブ)、抗CD30抗体(ブレンツキシマブベドチン)、ヒストン脱アセチル化酵素(HDAC)阻害薬(ボリノスタット)、多剤併用化学療法などを実施する。
病態
皮膚に親和性を持つヘルパーT細胞(CD4陽性)が腫瘍化し、表皮や真皮上層に浸潤する。病名に「菌状(mycosis)」とついているが、カビ(真菌)の感染症ではなく『悪性リンパ腫』であるのが国試の古典的な引っかけ。
試験・臨床での重要ポイント
初期は湿疹やアトピー性皮膚炎に似た紅斑として始まり、長年ステロイド外用薬などで治療されていることが多い。進行するとキノコ状の腫瘤(菌状)を形成する。
皮膚生検の病理組織所見で、表皮内に腫瘍細胞(異型T細胞)が集簇して形成される『Pautrier(ポートリエ)微小膿瘍』が絶対暗記のキーワード。
末梢血中に、脳回状(シワシワの脳みそのような形)の核を持つ異常T細胞(セザリー細胞)が多数出現し、全身の紅皮症とリンパ節腫脹を伴う白血病化した状態を『セザリー(Sézary)症候群』と呼ぶ。
白血球減少症は、末梢血の白血球数が基準値(通常4000/μL未満)を下回る状態。臨床的に最も問題となるのは、細菌感染の防御を担う「好中球」の減少(好中球数1500/μL未満)であり、500/μL未満になると「無顆粒球症」と呼ばれ、致死的な感染症のリスクとなる。
非ホジキンリンパ腫は、ホジキンリンパ腫以外の全ての悪性リンパ腫の総称であり、日本のリンパ腫の90%以上を占める。B細胞性、T/NK細胞性に大別され、節外病変(胃、腸、甲状腺など)が多く、非連続性に飛び石のように転移する特徴がある。
慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞の染色体異常(フィラデルフィア染色体)によって生じる骨髄増殖性腫瘍。異常なチロシンキナーゼ(BCR-ABL)が作られ、白血球(特に顆粒球系)が自律性に過剰増殖する。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場により予後が劇的に改善した。
慢性リンパ性白血病は、形態的に成熟した小型のBリンパ球が異常増殖し、末梢血や骨髄、リンパ節に蓄積する低悪性度の血液腫瘍。欧米の白血病では最多だが、日本人には極めて稀である。進行が非常に緩徐であり、無症状の場合は治療を行わず経過観察される。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。