原発性副甲状腺機能亢進症は、副甲状腺自体の腫瘍(腺腫など)により副甲状腺ホルモン(PTH)が過剰分泌され、高カルシウム血症をきたす疾患である。高Ca血症の2大原因の一つであり、骨病変や尿路結石を特徴とする。
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尿路結石(反復する側腹部痛、血尿)、腎石灰化。
骨病変:骨痛、病的骨折、線維性骨炎。
消化器症状:食欲不振、悪心、便秘、消化性潰瘍、膵炎。
精神症状:倦怠感、抑うつ、情緒不安定、意識障害(高Caクリーゼ時)。
血液検査:『高Ca(補正Ca値)』、『低P』、『intact-PTH(またはwhole-PTH)の上昇』。ALP上昇(骨代謝回転の亢進を反映)。
尿検査:尿中Ca排泄増加、尿中cAMP上昇。
画像診断:頸部エコー、99mTc-MIBGシンチグラフィ(腫瘍の局在診断に極めて有用)、CT。X線での特徴的な骨吸収像。
外科的治療(第一選択):『副甲状腺摘出術』。腺腫であればその1腺、増生であれば3.5腺または全摘+自家移植を行う。術後、急激にCaが骨に取り込まれて低Ca血症になる『hungry bone syndrome』に注意。
内科的治療:手術不能例や拒否例では、Ca受容体作動薬(エボカルセトなど)を用いてPTH分泌を抑制する。高Caクリーゼ時は大量輸液とビスホスホネート投与を行う。
病態
副甲状腺の腺腫(約80〜90%)、増生、または癌により、ネガティブフィードバックを無視してPTHが分泌され続ける。PTHの作用で骨吸収の亢進、腎でのCa再吸収促進・リン排泄促進、腸管でのCa吸収促進(活性型ビタミンD介在)が起こり、血中Caが上昇、Pが低下する。
試験・臨床での重要ポイント
血液検査での『高Ca・低P・高PTH(インタクトPTH上昇)』の組み合わせが鉄板。画像所見では、手のX線での『骨膜下骨吸収』や、頭蓋骨の『塩胡椒様(salt and pepper)外観』、顎骨の『褐色腫(エプリス)』が頻出キーワード。
症状は「stones, bones, abdominal groans, psychiatric moans」と覚えられ、尿路結石を契機に発見されることが多い。MEN(多発性内分泌腫瘍症)1型・2A型の一環として発症することもあり、家族歴の確認が重要。
覚え方・コツ
「原発性副甲状腺機能亢進症は『骨を溶かして石を作る』病気!PTHの暴走で血のカルシウムがパンパンになり、おしっこに漏れ出て石になる(尿路結石)。カルシウムが高すぎて『胃潰瘍』や『便秘』、『うつ症状』も出る。血液データは『Ca↑・P↓・PTH↑』。治療は原則、腫瘍化した副甲状腺を切り取る手術!」
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低カルシウム血症は、血清補正Ca濃度が8.5mg/dL未満の状態であり、神経や筋肉の興奮性が異常亢進し「テタニー(手足のしびれ、痙攣)」を引き起こす。Chvostek徴候やTrousseau徴候が特徴的で、心電図ではQT延長をきたす。
MEN2は、RETがん遺伝子の変異により生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患である。「甲状腺髄様癌」と「褐色細胞腫」を必須病変とし、周術期の致死的なクリーゼを防ぐため、甲状腺手術よりも「褐色細胞腫の治療を絶対に優先する」ことが最大の鉄則である。
MEN1(Wermer症候群)は、がん抑制遺伝子であるMEN1遺伝子の変異により生じる常染色体顕性(優性)遺伝疾患である。「副甲状腺」「下垂体」「膵・消化管」の3つの内分泌臓器に腫瘍が多発するのが特徴で、高カルシウム血症(副甲状腺機能亢進症)が初発症状となることが多い。
高カルシウム血症は、血清補正Ca濃度が10.5mg/dL以上の状態。悪性腫瘍と原発性副甲状腺機能亢進症が2大原因であり、消化器症状や精神・神経症状をきたす。重症化すると「高カルシウムクリーゼ」として致死的になるため、早急な大量輸液とビスホスホネート投与が必要となる。