サラセミアは、ヘモグロビンを構成するグロビン鎖(α鎖またはβ鎖)の合成障害により、小球性低色素性貧血をきたす遺伝性疾患。鉄欠乏性貧血(IDA)と非常に類似の検査所見を示すが、体内鉄は欠乏しておらず、むしろ過剰になりやすい(鉄剤投与が禁忌となる)点が極めて重要である。
最終更新日: 2026年5月31日
サラセミアは、ヘモグロビンを構成するグロビン鎖(α鎖またはβ鎖)の合成障害により、小球性低色素性貧血をきたす遺伝性疾患。鉄欠乏性貧血(IDA)と非常に類似の検査所見を示すが、体内鉄は欠乏しておらず、むしろ過剰になりやすい(鉄剤投与が禁忌となる)点が極めて重要である。
軽症(ヘテロ接合体):無症状で、健診の血液検査(小球性貧血)で偶然発見されることが多い。
重症(ホモ接合体・クーリー貧血など):乳児期からの重症の溶血性貧血、黄疸、著明な肝脾腫。骨髄での造血亢進により、頭蓋骨のX線像で『hair-on-end(ヘア・オン・エンド)サイン』を呈し、骨変形(サラセミア顔貌:前頭部突出、上顎突出)を生じる。
血液検査:小球性低色素性貧血(MCV低下)、赤血球数(RBC)の相対的増加。フェリチン正常〜高値。無効造血・溶血のサイン(網赤血球増加、間接ビリルビン上昇、LDH上昇、ハプトグロビン低下)。
末梢血塗抹標本:『標的赤血球(target cell)』の出現。
ヘモグロビン電気泳動(確定診断):βサラセミアではHbA2、HbFの増加を証明する。
軽症例(マイナー):無治療で経過観察。※誤診による鉄剤の投与を避けることが最大の治療マネジメントである。
重症例(メジャー):定期的な赤血球輸血が必要。輸血に伴うヘモクロマトーシス(鉄過剰症)を防ぐため、『鉄キレート剤』の併用が必須。
根治治療:同種造血幹細胞移植。脾臓での赤血球破壊が著しい場合は脾摘。
病態
正常な成人ヘモグロビン(HbA)は、α鎖2本とβ鎖2本で構成される。遺伝子変異によりα鎖が作れないものを「αサラセミア」、β鎖が作れないものを「βサラセミア」と呼ぶ。片方の鎖が不足すると、余ったもう片方の鎖が赤血球内で沈殿して膜を傷つけ、骨髄内(無効造血)や脾臓(血管外溶血)で破壊される。
試験・臨床での重要ポイント
『鉄欠乏性貧血(IDA)との鑑別』が国試で超頻出。
どちらも「小球性低色素性(MCV低下、MCH低下)」になるが、サラセミアでは鉄は足りているため『血清フェリチン正常〜上昇』『TIBC正常〜低下』となる。
また、赤血球が壊される代償として骨髄がフル稼働するため、『赤血球数(RBC)はむしろ増加(500万以上など)』し、網赤血球も増加する。
βサラセミアの確定診断では、β鎖が作れない代償として、δ鎖やγ鎖を使ったヘモグロビンである『HbA2(α2δ2)やHbF(胎児型:α2γ2)の割合が増加』していることを電気泳動で証明する。
覚え方・コツ
「サラセミアは『鉄はたっぷりあるのに、ヘモグロビンの部品(グロビン鎖)が作れない小球性貧血』!MCVが低いのにフェリチンが正常ならコレを疑え。間違えて鉄剤を出すと『鉄過剰症(サビだらけ)』になるから絶対禁忌!血液の塗抹標本を見ると、真ん中に的(マト)がある『標的赤血球』が見える。βサラセミアは代打のヘモグロビン(HbA2、HbF)が増えるのがサインだ!」
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慢性リンパ性白血病は、形態的に成熟した小型のBリンパ球が異常増殖し、末梢血や骨髄、リンパ節に蓄積する低悪性度の血液腫瘍。欧米の白血病では最多だが、日本人には極めて稀である。進行が非常に緩徐であり、無症状の場合は治療を行わず経過観察される。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。