ビタミンB12の欠乏により、DNAの合成が障害され、骨髄で赤血球が正常に成熟できない「巨赤芽球性貧血」をきたす疾患。自己免疫による胃壁細胞の破壊で内因子が欠乏して起こるものを「悪性貧血」と呼ぶ。貧血に加え、葉酸欠乏にはない「神経症状」を伴うのが最大の特徴である。
最終更新日: 2026年5月31日
ビタミンB12の欠乏により、DNAの合成が障害され、骨髄で赤血球が正常に成熟できない「巨赤芽球性貧血」をきたす疾患。自己免疫による胃壁細胞の破壊で内因子が欠乏して起こるものを「悪性貧血」と呼ぶ。貧血に加え、葉酸欠乏にはない「神経症状」を伴うのが最大の特徴である。
貧血症状:息切れ、動悸、易疲労感、顔面蒼白(軽い黄疸を伴いレモン色を呈することもある:無効造血による溶血)。
消化器症状:Hunter舌炎(舌乳頭が萎縮し、平滑で赤く痛む)、食欲不振。
神経症状(亜急性連合性脊髄変性症):下肢のしびれ、振動覚・位置覚の低下、痙性歩行、認知機能低下。
血液検査:MCV高値(>100fLの大球性貧血)、血清ビタミンB12低値、間接ビリルビン・LDH上昇(無効造血)。
末梢血塗抹:巨大な赤血球(大卵円形)、『過分葉好中球(核が5つ以上に分かれている)』。
骨髄検査:骨髄は過形成で、細胞質に比べて核が未熟な『巨赤芽球』を認める。
原因検索:抗内因子抗体・抗胃壁細胞抗体陽性(悪性貧血の場合)、胃内視鏡で高度の萎縮性胃炎。
『ビタミンB12(シアノコバラミン等)の筋肉内注射』。
※悪性貧血や胃切除後の場合、経口投与しても吸収されないため、原則として注射で投与する(生涯にわたる維持療法が必要)。
注意:B12欠乏患者に「葉酸のみ」を投与すると、貧血は改善するが、神経症状(亜急性連合性脊髄変性症)が急激に悪化するため絶対禁忌である。
病態
B12は胃壁細胞から分泌される「内因子」と結合して、回腸末端で吸収される。そのため、自己免疫性胃炎(悪性貧血)、胃全摘術後(数年後)、回腸末端切除などの患者で欠乏する。DNA合成が障害されるため、細胞分裂が遅れて細胞が巨大化する(大球性貧血)。
試験・臨床での重要ポイント
『葉酸欠乏症との鑑別』が超頻出。どちらも大球性貧血(巨赤芽球性貧血)をきたすが、『神経症状(しびれ、歩行障害)』がある場合はビタミンB12欠乏である。
この神経症状を『亜急性連合性脊髄変性症』と呼び、脊髄の後索(位置覚・振動覚)と側索(運動・錐体路)がやられるのが特徴。また、舌がツルツルに赤くなる『Hunter(ハンター)舌炎』も有名。血液塗抹標本での『過分葉好中球(分葉が5つ以上)』も重要な画像所見。
覚え方・コツ
「ビタミンB12欠乏は『胃がダメで吸収できず、血も神経もボロボロになる病気』!胃を切った後や、悪性貧血(自己免疫で胃が萎縮)で起こる。赤血球がデカくなる(大球性貧血・MCV>100)。テストでは『葉酸欠乏』との違いが絶対に出る!『足がしびれる、ふらつく(神経症状・亜急性連合性脊髄変性症)』と書いてあればB12欠乏の確定だ!舌がツルツル(Hunter舌炎)になるのもサイン!」
白血球減少症は、末梢血の白血球数が基準値(通常4000/μL未満)を下回る状態。臨床的に最も問題となるのは、細菌感染の防御を担う「好中球」の減少(好中球数1500/μL未満)であり、500/μL未満になると「無顆粒球症」と呼ばれ、致死的な感染症のリスクとなる。
非ホジキンリンパ腫は、ホジキンリンパ腫以外の全ての悪性リンパ腫の総称であり、日本のリンパ腫の90%以上を占める。B細胞性、T/NK細胞性に大別され、節外病変(胃、腸、甲状腺など)が多く、非連続性に飛び石のように転移する特徴がある。
慢性骨髄性白血病は、造血幹細胞の染色体異常(フィラデルフィア染色体)によって生じる骨髄増殖性腫瘍。異常なチロシンキナーゼ(BCR-ABL)が作られ、白血球(特に顆粒球系)が自律性に過剰増殖する。チロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の登場により予後が劇的に改善した。
慢性リンパ性白血病は、形態的に成熟した小型のBリンパ球が異常増殖し、末梢血や骨髄、リンパ節に蓄積する低悪性度の血液腫瘍。欧米の白血病では最多だが、日本人には極めて稀である。進行が非常に緩徐であり、無症状の場合は治療を行わず経過観察される。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。