定義
カルシウム感知受容体CaSRは、細胞外Ca²⁺濃度をリガンドとして認識するクラスCのGタンパク質共役型受容体である。副甲状腺主細胞ではCa²⁺上昇に応じて副甲状腺ホルモン分泌を抑制し、腎臓、骨、消化管などでも局所機能を調節する。実際に受容体へ入力されるのは、血清総カルシウム値ではなく、生物学的に作用するイオン化Ca²⁺濃度である。
イメージ
CaSRは、Ca²⁺そのものを測る恒常性センサーである。Ca²⁺が十分なら副甲状腺ホルモンを抑え、不足すれば抑制を解除することで、腎臓、骨、腸管を介したCa²⁺回復反応を開始させる。
仕組み
副甲状腺CaSRがCa²⁺やMg²⁺によって活性化されると、Gq/11–ホスホリパーゼC–IP₃経路およびGi経路が働き、副甲状腺ホルモン顆粒の放出と遺伝子発現が抑制される。慢性的な低Ca²⁺状態では、副甲状腺ホルモン合成と副甲状腺細胞の増殖が促される。腎臓では太い上行脚などに発現するCaSRが輸送体や傍細胞経路を調節し、尿中Ca²⁺排泄や尿濃縮へ影響する。受容体の機能亢進・機能低下は、副甲状腺ホルモン分泌が抑制され始めるCa²⁺濃度の設定点を変える。カルシミメティクスはCaSRの感受性を高めるアロステリック調節薬である。
例
イオン化Ca²⁺がわずかに低下すると副甲状腺ホルモンが速やかに増加し、腎Ca²⁺再吸収、リン排泄、活性型ビタミンD産生を通じてCa²⁺を回復させる。CaSR機能低下では高Ca²⁺でも副甲状腺ホルモン抑制が不十分となり、機能亢進では低Ca²⁺側でも抑制が強くなる。