細菌、ウイルス、真菌、寄生虫などを、特徴・感染経路・診断・治療から整理する病原体の図鑑です。
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青年・若年成人の咽頭炎を起こし、猩紅熱様発疹を伴うことがあるグラム陽性桿菌である。A群レンサ球菌咽頭炎と類似するが、培養で遅れて出現するβ溶血と菌種同定が鑑別に役立つ。
咽頭・皮膚に感染するA群β溶血性レンサ球菌で、咽頭炎、猩紅熱、膿痂疹、壊死性筋膜炎を起こす。感染後には急性糸球体腎炎やリウマチ熱が生じうるため、早期診断と適切な治療が重要である。
腟・直腸に保菌されるB群レンサ球菌で、新生児敗血症・肺炎・髄膜炎の主要原因となる。妊婦スクリーニングと分娩時抗菌薬予防により、早発型新生児感染症を予防する。
抗菌薬投与などで腸内細菌叢が乱れた際に増殖し、毒素性下痢から偽膜性大腸炎を起こす芽胞形成菌である。症状のある患者を対象に毒素・抗原・核酸検査を組み合わせて診断する。
比較的耐気性をもつ嫌気性芽胞形成桿菌で、明らかな外傷なしに自然発症性筋壊死を起こす。大腸癌、血液悪性腫瘍、好中球減少との関連が強く、検出時には基礎疾患検索が必要である。
大腸菌はヒトや動物の腸管に常在するグラム陰性桿菌で、多くの株は無害だが、病原性遺伝子を獲得した株は下痢、尿路感染症、菌血症、腹腔内感染、新生児髄膜炎を起こす。感染部位と病原型を区別して診断する必要がある。([病気予防管理センター][13])
腟内細菌叢の乱れに伴う細菌性腟症で増加するグラム染色性不定の小型桿菌で、嫌気性菌とともにバイオフィルムを形成する。診断は腟分泌物所見やGram染色スコアで行う。
更新: 2026年7月13日
詳しく見る→口腔、消化管、腟に常在し乳酸を産生するグラム陽性桿菌群で、通常は低病原性である。免疫不全、構造的心疾患、消化管病変では菌血症や感染性心内膜炎を起こすことがある。
Legionella pneumophilaは給湯設備、循環式浴槽、冷却塔などの人工水環境で増殖し、汚染エアロゾルの吸入によって重症肺炎を起こす細胞内寄生性グラム陰性桿菌である。温泉・入浴施設利用歴、低ナトリウム血症、下痢は診断の手がかりとなる。([厚生労働省][10])
水・土壌に存在する迅速発育性非結核性抗酸菌で、気管支拡張症や嚢胞性線維症の難治性肺感染、医療処置後の皮膚軟部組織感染を起こす。誘導性マクロライド耐性の評価が治療を左右する。
更新: 2026年7月13日
詳しく見る→西アフリカを中心にヒト結核を起こす結核菌群の抗酸菌で、感染経路、臨床像、診療原則は結核菌に近い。渡航歴・出身地域を確認し、分子学的菌種同定と薬剤感受性検査を行う。
水や土壌に生息する非結核性抗酸菌群で、気管支拡張症を背景とした慢性肺疾患や、進行HIV感染症での播種性感染を起こす。環境由来のため、培養陽性だけで肺MAC症とは診断しない。
水環境に生息する迅速発育抗酸菌で、注射・美容処置・手術後の皮膚軟部組織感染、角膜炎、カテーテル感染を起こす。免疫抑制患者では多発性皮膚病変を伴う播種性感染に注意する。
水環境に存在する遅発育性非結核性抗酸菌で、上肺野空洞を伴う結核類似の慢性肺疾患を起こす。病原性が比較的高く、呼吸器検体から反復分離された場合は臨床的意義を慎重に評価する。
Salmonella Typhimuriumは家畜、家禽、げっ歯類、爬虫類など幅広い動物を宿主とする非チフス性サルモネラで、食中毒、菌血症、局所感染を起こす。多剤耐性系統の拡大にも注意が必要である。
更新: 2026年7月23日
詳しく見る→コアグラーゼ陰性ブドウ球菌でありながら黄色ブドウ球菌に近い強い病原性を示し、破壊性の感染性心内膜炎や皮膚軟部組織感染を起こす。血液培養からの検出を安易に汚染と判断しない。
インフルエンザ菌は鼻咽頭に定着する多形性グラム陰性球桿菌で、無莢膜株は中耳炎やCOPD増悪、莢膜b型は髄膜炎や急性喉頭蓋炎などの侵襲性感染を起こす。ウイルス性インフルエンザとは別の病原体である。([病気予防管理センター][5])
土壌や腸管に存在する偏性嫌気性芽胞形成桿菌で、食品中で増殖して食中毒を起こすほか、外傷部で急速な筋壊死とガス産生を伴うガス壊疽を起こす。重症軟部組織感染では緊急手術が不可欠である。
毒素産生株が咽頭に偽膜を形成し、心筋障害や末梢神経障害を起こすグラム陽性桿菌である。臨床的に疑った段階で抗毒素と抗菌薬を開始し、飛沫・接触予防策と行政対応を行う。
環境や食品に広く存在する芽胞形成性グラム陽性桿菌で、嘔吐型・下痢型食中毒を起こす。多くは支持療法で軽快するが、眼内炎や菌血症などの侵襲性感染では培養と感受性に基づく治療が必要である。
土壌に生息する好気性の分岐状グラム陽性桿菌で、細胞性免疫低下患者に肺感染、脳膿瘍、播種性感染を起こす。弱抗酸性と遅い培養発育が診断の手がかりとなる。
バンコマイシンへの感受性が低下したVISAまたは高度耐性を示すVRSAで、長期抗MRSA薬投与や医療曝露と関連する。MICを正確に確認し、専門家と連携して代替薬と感染源制御を行う。
芽胞を形成する偏性嫌気性桿菌で、食品中または腸管・創部で産生された神経毒により脳神経麻痺から下降性弛緩性麻痺を起こす。疑った時点で抗毒素を手配し、呼吸管理を開始する。
mecAまたはmecCにより多くのβラクタム系抗菌薬へ耐性を示す黄色ブドウ球菌で、医療関連感染と市中感染の双方を起こす。保菌と感染を区別し、感染部位と感受性に基づき治療する。
皮膚と末梢神経の低温部位に親和性をもつ細胞内寄生性抗酸菌で、知覚低下を伴う皮疹と末梢神経障害を起こす。人工培地で培養できず、皮膚スメア、病理、PCRを組み合わせて診断する。
低温でも増殖可能な細胞内寄生性グラム陽性桿菌で、非加熱食品から妊婦、高齢者、新生児、免疫不全者へ侵入し、敗血症や髄膜炎を起こす。セフェム系が無効である点が治療上重要である。
尿路病原性大腸菌は腸管由来の腸管外病原性大腸菌で、尿道から上行して膀胱炎、腎盂腎炎、前立腺炎、尿路性敗血症を起こす。単純性尿路感染症で最も重要な原因菌である。
口腔・消化管・女性生殖器に常在する嫌気性分岐状グラム陽性桿菌で、粘膜損傷後に組織境界を越えて進展する慢性化膿性肉芽腫性病変と瘻孔を形成する。
土壌や環境に広く存在する芽胞形成性グラム陽性桿菌で、通常は低病原性で培養汚染菌となる。免疫不全、注射薬物使用、血管内デバイス留置例では菌血症や心内膜炎の原因となりうる。
淋菌はヒトの尿道、子宮頸管、直腸、咽頭、結膜に感染するグラム陰性双球菌で、淋菌性尿道炎、子宮頸管炎、骨盤内炎症性疾患を起こす。無症候感染と薬剤耐性が多く、核酸増幅検査による診断と適切な治療後のパートナー対応が重要である。([世界保健機関][1])
芽胞を形成する大型グラム陽性桿菌で、感染動物や動物製品、土壌中の芽胞から皮膚炭疽、吸入炭疽、消化管炭疽を起こす。疑った時点で検査室・保健当局と連携し、曝露後予防を含めて対応する。
百日咳菌はヒトの気道上皮に付着し、百日咳毒素などによって長期間続く発作性咳嗽、吸気性笛声、咳込み後嘔吐を起こす小型グラム陰性球桿菌である。乳児では咳が乏しく、無呼吸やチアノーゼのみのことがある。([病気予防管理センター][7])
土壌中の芽胞が創傷から侵入し、嫌気環境で産生された神経毒により開口障害、筋強直、全身性痙攣を起こす。診断は臨床的に行い、抗毒素、創処置、抗菌薬、呼吸循環管理を組み合わせる。
飛沫核で伝播し、肺胞マクロファージ内で生存して肉芽腫と潜伏感染を形成する抗酸菌である。喀痰塗抹、核酸検査、培養で活動性結核を診断し、複数薬剤を長期間併用する。
莢膜をもつα溶血性のグラム陽性双球菌で、市中肺炎、中耳炎、髄膜炎、菌血症を起こす。尿中抗原、培養、髄液検査を使い分け、耐性と感染部位を考慮して治療する。
若年女性の単純性膀胱炎を起こす代表的なコアグラーゼ陰性ブドウ球菌で、会陰部や消化管に保菌される。尿培養で検出し、表皮ブドウ球菌との鑑別にはノボビオシン耐性が有用である。
皮膚常在性のコアグラーゼ陰性ブドウ球菌で、人工弁、カテーテル、人工関節などにバイオフィルムを形成する。血液培養では汚染が多いが、複数セット陽性や人工物留置例では真の感染を疑う。
魚介類、豚、家禽などを扱う職業で皮膚の小外傷から感染し、境界明瞭な紫紅色病変を起こす細長いグラム陽性桿菌である。菌血症例では感染性心内膜炎を積極的に検索する。
軟性下疳菌は疼痛を伴う不整形の性器潰瘍と有痛性化膿性鼠径リンパ節腫脹を起こすグラム陰性球桿菌である。国内ではまれだが、流行地域への渡航歴がある性器潰瘍では梅毒や性器ヘルペスとともに鑑別する。([病気予防管理センター][6])
髄膜炎菌は鼻咽頭に保菌され、飛沫や唾液を介する濃厚接触で伝播する莢膜保有グラム陰性双球菌である。髄膜炎や電撃性菌血症を急速に起こすため、疑った時点で抗菌薬を開始し、濃厚接触者への予防投与を行う。([病気予防管理センター][3])
皮膚・鼻腔に常在するコアグラーゼ陽性のグラム陽性球菌で、化膿性感染症、菌血症、毒素性疾患を起こす。培養と感受性検査でMSSAとMRSAを区別し、感染部位に応じて治療する。
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