土壌に生息する好気性の分岐状グラム陽性桿菌で、細胞性免疫低下患者に肺感染、脳膿瘍、播種性感染を起こす。弱抗酸性と遅い培養発育が診断の手がかりとなる。
Nocardia asteroides complex
細菌
細く分岐するビーズ状のグラム陽性桿菌として観察される。修正抗酸染色では弱抗酸性を示す。
従来Nocardia asteroides complexと一括された菌群は複数のNocardia種を含むため、現在は種レベルの同定が推奨される。
偏性好気性、非運動性、非芽胞形成性の分岐状放線菌で、菌糸様構造が断片化して桿菌・球菌状になる。乾燥した白色から橙色のコロニーを形成する。
土壌、塵埃、水、腐敗植物などの自然環境。
土壌・塵埃中の菌を吸入するか、外傷部へ直接接種されて感染する。通常はヒトからヒトへ伝播しない。
ミコール酸を含む細胞壁、カタラーゼ、スーパーオキシドジスムターゼ、食胞とリソソームの融合阻害により、マクロファージ内で生存する。
肺ノカルジア症、脳膿瘍、播種性ノカルジア症、原発性皮膚ノカルジア症、リンパ皮膚型感染、菌腫を起こす。副腎皮質ステロイド、移植、血液悪性腫瘍、慢性肺疾患がリスクとなる。
喀痰、気管支肺胞洗浄液、膿、組織をGram染色と修正抗酸染色で観察し、検査室へ疑いを伝えて好気培養を長期間継続する。MALDI-TOFや16S rRNAなどで種同定し、全身感染では脳MRIを行う。
ST合剤を中心に、重症肺感染・脳病変・播種例ではアミカシン、イミペネム、メロペネム、リネゾリドなどを感受性に基づき併用する。菌種ごとの耐性差が大きいため、正確な同定と微量液体希釈法による感受性検査が必要である。([MSD Manuals][5])
確立したワクチンや曝露後予防はない。免疫抑制患者では土壌・粉塵への強い曝露時に防護具を使用し、呼吸器症状や皮膚病変を早期に評価する。
好気性、分岐状グラム陽性桿菌、弱抗酸性がActinomycesとの鑑別点である。肺病変から血行性に脳へ播種しやすいため、神経症状がなくても脳画像を検討する。治療はST合剤が中心だが、菌種別耐性が大きく感受性検査が必須である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。