Legionella pneumophilaは給湯設備、循環式浴槽、冷却塔などの人工水環境で増殖し、汚染エアロゾルの吸入によって重症肺炎を起こす細胞内寄生性グラム陰性桿菌である。温泉・入浴施設利用歴、低ナトリウム血症、下痢は診断の手がかりとなる。([厚生労働省][10])
Legionella pneumophila
細菌
細長いグラム陰性桿菌であるが、通常のGram染色では染まりにくく、喀痰中の好中球が多いのに菌体がほとんど見えないことがある。
Legionella属に属する細胞内寄生菌で、多数の血清群がある。ヒト感染ではL. pneumophila血清群1が特に多い。
偏性好気性、非芽胞形成性の細長い桿菌で、極鞭毛により運動する。発育にはL-システインと鉄を必要とし、BCYEα培地を用いる。通常の血液寒天培地には発育しない。
河川、湖沼、土壌などの自然環境に存在し、自由生活性アメーバ内で増殖する。給湯設備、循環式浴槽、加湿器、冷却塔、シャワー、噴水など人工水環境のバイオフィルムが重要なリザーバーとなる。
汚染水から生じた微細エアロゾルの吸入、または汚染水の誤嚥により感染する。飲水による通常の経口感染や、一般的なヒトからヒトへの伝播は基本的に起こらない。
Dot/Icm IV型分泌系を介して宿主蛋白を注入し、マクロファージやアメーバ内で食胞とリソソームの融合を阻害する。細胞内増殖後に宿主細胞を破壊し、強い肺胞炎症を起こす。
重症肺炎であるレジオネラ肺炎と、肺炎を伴わない自然軽快性のポンティアック熱を起こす。レジオネラ肺炎では高熱、乾性咳嗽、呼吸不全に加え、下痢、腹痛、意識障害、相対的徐脈、低ナトリウム血症、肝酵素・CK上昇を伴うことがある。高齢、喫煙、慢性肺疾患、免疫抑制が重症化リスクとなる。
尿中抗原検査は迅速で有用だが、主にL. pneumophila血清群1を検出するため陰性でもレジオネラ症を除外できない。喀痰や気管支肺胞洗浄液で核酸増幅検査とBCYEα培地による培養を行う。培養は感染源調査と菌株比較に重要であり、検査室へレジオネラ疑いを伝える。
細胞内移行性の高いアジスロマイシンなどのマクロライド系、またはレボフロキサシンなどの呼吸器フルオロキノロン系を用いる。重症肺炎では静注治療を開始し、免疫抑制、臓器障害、治療反応に応じて期間を調整する。βラクタム系単剤は細胞内移行性と菌のβラクタマーゼのため適切でない。
循環式浴槽、給湯設備、冷却塔、加湿設備の温度・滞留水・バイオフィルムを管理し、定期清掃、消毒、微生物検査を行う。家庭用加湿器や浴槽も取扱説明書に従って清掃する。国内のレジオネラ症は4類感染症であり、診断した場合は直ちに届け出る。([厚生労働省][11])
温泉、循環式浴槽、ホテル、冷却塔への曝露後に、肺炎と下痢、低ナトリウム血症、比較的徐脈を認めた場合に疑う。通常培地では発育せず、L-システインと鉄を含むBCYEα培地が必要である。尿中抗原陰性でも血清群1以外の感染は否定できない。治療には細胞内移行性の高いマクロライド系またはフルオロキノロン系を用いる。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。