Salmonella Typhimuriumは家畜、家禽、げっ歯類、爬虫類など幅広い動物を宿主とする非チフス性サルモネラで、食中毒、菌血症、局所感染を起こす。多剤耐性系統の拡大にも注意が必要である。
Salmonella enterica subsp. enterica serovar Typhimurium
細菌
中等大のグラム陰性桿菌である。
Salmonella entericaの非チフス性血清型である。単相変異型Salmonella 4,[5],12:i:-を含む近縁系統には多剤耐性クローンが存在する。
通性嫌気性、非芽胞形成性、周毛性鞭毛による運動性をもつ。乳糖非発酵、オキシダーゼ陰性、ウレアーゼ陰性で、通常硫化水素を産生する。
ブタ、ウシ、鶏、七面鳥、げっ歯類、爬虫類、両生類、野生動物など宿主域が広い。食肉、飼料、ペット、農場環境が感染源となる。
加熱不十分な豚肉、牛肉、鶏肉、卵、乳製品、野菜の摂取、動物や飼育環境との接触、感染者の便を介して糞口感染する。
Salmonella pathogenicity island 1のIII型分泌装置で腸上皮へ侵入し、病原性アイランド2の分泌系でマクロファージ内生存を可能にする。線毛、鞭毛、リポ多糖、鉄獲得系が炎症と播種に関与する。
発熱、腹痛、水様性下痢、悪心、嘔吐を伴う急性胃腸炎を起こす。乳幼児、高齢者、HIV感染者、免疫抑制患者では菌血症、敗血症、髄膜炎、骨髄炎、化膿性関節炎、血管感染へ進展する。サハラ以南アフリカでは侵襲性非チフス性サルモネラ感染の主要血清型となる。
便培養または核酸増幅検査を行い、血清型別でTyphimuriumを確認する。重症例や免疫不全者では血液培養を採取する。集団発生や耐性菌疑いでは全ゲノム解析、耐性遺伝子解析、薬剤感受性検査を行う。
健常者の軽症胃腸炎は経口補水などの支持療法を基本とする。菌血症、重症腸炎、乳児、高齢者、免疫不全者、血管・人工物感染リスク患者では抗菌薬を使用する。セフトリアキソン、アジスロマイシン、シプロフロキサシンなどから感受性に基づいて選択し、多剤耐性系統を考慮して培養結果を確認する。([病気予防管理センター][4])
食肉を十分に加熱し、生肉用器具と調理済み食品を分ける。家畜、げっ歯類、爬虫類、両生類、飼育容器に触れた後は石けんで手洗いする。家畜生産段階での衛生管理と抗菌薬適正使用も耐性菌対策に重要である。
非チフス性サルモネラの代表で、動物宿主域が広い。細胞内寄生性とIII型分泌装置が病原性の中心である。実験動物のマウスにチフス様全身感染を起こすことからマウスチフス菌とも呼ばれるが、ヒトでは主に胃腸炎を起こす。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。