低温でも増殖可能な細胞内寄生性グラム陽性桿菌で、非加熱食品から妊婦、高齢者、新生児、免疫不全者へ侵入し、敗血症や髄膜炎を起こす。セフェム系が無効である点が治療上重要である。
Listeria monocytogenes
細菌
短いグラム陽性桿菌で、双球菌やコリネ型細菌に類似してみえることがある。
通性嫌気性、カタラーゼ陽性、非芽胞形成性で、低温で増殖できる。室温付近でタンブリング運動を示し、血液寒天培地で狭いβ溶血を示す。
Listeria属に属する細胞内寄生性細菌で、リステリオリシンOなどの病原性遺伝子群をもつ。
土壌、水、植物、動物腸管、食品製造環境。未殺菌乳、ナチュラルチーズ、加工肉、生ハム、非加熱食品が感染源となる。
主に汚染食品の摂取による経口感染である。妊婦から胎児への胎盤感染、分娩時の産道感染も起こる。([感染症情報提供サイト][3])
インターナリンにより細胞へ侵入し、リステリオリシンOとホスホリパーゼで食胞から脱出する。ActAにより宿主アクチンを重合させ、細胞から細胞へ移動して抗体から逃れる。
発熱性胃腸炎、菌血症、髄膜炎、脳幹脳炎を起こす。妊婦では軽い発熱でも流産、死産、早産、胎児感染を生じ、新生児では敗血症、肺炎、髄膜炎を起こす。
血液、髄液、胎盤、羊水などを培養する。髄液Gram染色では菌数が少なく見逃されることがあり、短いグラム陽性桿菌を汚染菌と誤認しない。必要に応じて核酸検査を補助的に用いる。
アンピシリンを基本とし、重症例ではゲンタマイシン併用を検討する。重度βラクタムアレルギーではST合剤などを検討する。リステリアはセフェム系に自然耐性を示すため、髄膜炎の経験的治療では高齢者や免疫不全者にアンピシリンを追加する。
妊婦、高齢者、免疫不全者は未殺菌乳製品、加熱不十分な食肉、非加熱の加工肉などを避け、冷蔵食品も期限内に使用して十分に再加熱する。冷蔵庫内でも増殖可能であるため低温保存だけに依存しない。
低温増殖、タンブリング運動、狭いβ溶血、細胞内でのアクチンロケット形成が特徴である。妊婦・新生児・高齢者・細胞性免疫低下患者の髄膜炎や菌血症で疑う。セフェム系が無効で、治療の基本はアンピシリンである。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。