飛沫核で伝播し、肺胞マクロファージ内で生存して肉芽腫と潜伏感染を形成する抗酸菌である。喀痰塗抹、核酸検査、培養で活動性結核を診断し、複数薬剤を長期間併用する。
Mycobacterium tuberculosis
細菌
グラム陽性菌に分類されるが、細胞壁にミコール酸を豊富に含むためGram染色では染色性が低く、Ziehl-Neelsen染色や蛍光抗酸染色で赤色の抗酸性桿菌として観察される。抗酸菌の代表であり、国家試験・CBTでも頻出である。
Mycobacterium tuberculosis complex(MTBC)に属する結核菌群の代表菌である。細胞壁にはミコール酸、リポアラビノマンナン(LAM)などの脂質成分を豊富に含み、抗酸性や消毒薬・乾燥への抵抗性の原因となっている。
細長い非運動性・非芽胞形成性・偏性好気性の抗酸菌である。増殖速度は非常に遅く、培養には通常2〜8週間を要する。液体培地ではコード形成(cord formation)を示す株が多く、この性質は病原性との関連が知られている。
唯一の主要リザーバーはヒトであり、特に活動性肺結核や喉頭結核患者が感染源となる。潜在性結核感染症(LTBI)の患者も菌を保有しているが、通常は他者へ感染させない。
感染性肺結核患者や喉頭結核患者が咳、くしゃみ、会話、歌唱などで排出した飛沫核(droplet nuclei)を吸入することで空気感染する。感染源として最も重要なのは喀痰抗酸菌塗抹陽性の肺結核患者である。飛沫感染や接触感染ではなく空気感染であることは国家試験・CBTの重要ポイントである。
ミコール酸を主体とする脂質豊富な細胞壁、コード因子(Trehalose dimycolate)、ESX-1分泌系(ESAT-6・CFP-10)、リポアラビノマンナン(LAM)などを有する。これらによりマクロファージ内で殺菌を回避し、細胞性免疫を誘導して乾酪壊死性肉芽腫を形成する。潜伏感染を成立させ、免疫低下時には再活性化を起こす。
肺結核が最も重要であり、咳嗽、血痰、発熱、寝汗、体重減少などを呈する。肺外結核として粟粒結核、結核性髄膜炎、結核性胸膜炎、頸部リンパ節結核、脊椎カリエス(Pott病)、腎・尿路結核、腸結核、副腎結核(Addison病の原因)など多彩な病態を引き起こす。初感染後は潜在性結核感染症(LTBI)となり、生涯にわたり再活性化のリスクを有する。
喀痰を原則2〜3回採取し、抗酸菌塗抹検査、核酸増幅検査(PCR・NAAT)、培養検査、菌種同定、薬剤感受性試験を行う。抗酸菌塗抹陽性のみでは非結核性抗酸菌(NTM)との鑑別はできず、培養や遺伝子検査が必要となる。IGRA(QuantiFERON・T-SPOT)やツベルクリン反応は結核感染歴を示すが、活動性結核と潜在性結核感染症を区別することはできない。胸部X線や胸部CTでは上肺野優位の浸潤影・空洞形成、初感染では肺門リンパ節腫脹やGhon病巣を認めることがある。
薬剤感受性結核ではイソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、ピラジナミド(PZA)、エタンブトール(EB)の4剤併用療法を開始し、その後は薬剤感受性や病態に応じて継続治療を行う。服薬遵守のためDOTS(Directly Observed Treatment, Short-course)が推奨される。単剤投与や不適切な治療は多剤耐性結核(MDR-TB)や超多剤耐性結核(XDR-TB)の原因となるため避けなければならない。
感染性肺結核患者では陰圧個室への隔離、N95マスク着用など空気予防策を実施する。接触者健診、潜在性結核感染症(LTBI)の適切な治療、十分な換気、乳児期のBCG接種が重要な予防法である。日本では感染症法に基づく届出対象疾患であり、診断後は保健所への届出と公衆衛生学的対応が義務付けられている。
Mycobacterium tuberculosisは結核の原因菌であり、『抗酸菌』『空気感染』『乾酪壊死性肉芽腫』『細胞内寄生』『遅発型(IV型)アレルギー』『潜在性結核感染症(LTBI)』が重要キーワードである。再活性化結核では上肺野優位の空洞形成、初感染結核では肺門リンパ節腫脹やGhon病巣が特徴となる。IGRA陽性のみでは活動性結核とは診断できず、確定診断には培養・菌種同定・薬剤感受性試験が必要である。治療はINH・RFP・PZA・EBによる4剤併用療法が基本であり、単剤治療は耐性菌出現の原因となる。空気感染対策として陰圧室・N95マスクを用いる点と、BCGが重症結核の予防に有効であることも頻出事項である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。