西アフリカを中心にヒト結核を起こす結核菌群の抗酸菌で、感染経路、臨床像、診療原則は結核菌に近い。渡航歴・出身地域を確認し、分子学的菌種同定と薬剤感受性検査を行う。
Mycobacterium africanum
細菌
グラム陽性菌に分類されるが、細胞壁にミコール酸を豊富に含むためGram染色では染色性が低く、Ziehl-Neelsen染色や蛍光抗酸染色で抗酸性桿菌として確認される。Mycobacterium tuberculosisと同様に結核菌群(Mycobacterium tuberculosis complex:MTBC)に属する。
Mycobacterium tuberculosis complex(MTBC)に属する結核菌群の一種であり、主にLineage 5(West African 1)およびLineage 6(West African 2)に分類される。西アフリカ地域に特有の系統として知られている。
細長い桿菌で、非運動性・非芽胞形成性・偏性好気性の抗酸菌である。発育は緩徐で、培養には通常2〜8週間を要する。形態や培養性状のみでM. tuberculosisやM. bovisなど他の結核菌群と鑑別することは困難であり、分子生物学的検査が必要となる。
主な自然宿主はヒトである。西アフリカ(ガーナ、ギニア、セネガル、ナイジェリア、ベナンなど)で地域流行しており、一部の国では結核患者の相当割合を占める。
感染性肺結核患者が排出した飛沫核(droplet nuclei)の吸入による空気感染で伝播する。感染経路や感染成立の機序はMycobacterium tuberculosisとほぼ同一であり、感染力を有する患者では結核と同様の感染対策が必要である。
ミコール酸を主体とする脂質豊富な細胞壁、ESX-1分泌系、細胞内生存能、マクロファージ内での免疫回避機構など、結核菌群に共通する病原因子を有する。宿主内では肉芽腫を形成し、長期間の潜伏感染を成立させることができる。
肺結核が最も多く、慢性咳嗽、血痰、発熱、寝汗、体重減少など典型的な結核症状を呈する。肺外結核としてリンパ節結核、胸膜結核、粟粒結核、結核性髄膜炎、骨・関節結核、泌尿生殖器結核なども生じ、臨床像はMycobacterium tuberculosisによる結核とほぼ同様である。
喀痰抗酸菌塗抹検査、培養検査、核酸増幅検査(NAAT)により結核菌群感染を診断する。抗酸菌塗抹や一般的なPCRではM. tuberculosisとの区別は困難であり、菌種同定には系統特異的PCR、spoligotyping、MIRU-VNTR解析、全ゲノムシーケンスなどを用いる。治療方針決定のため薬剤感受性試験も重要である。
薬剤感受性が確認された場合は、イソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、ピラジナミド(PZA)、エタンブトール(EB)を基本とした標準抗結核薬4剤併用療法を行う。耐性菌が疑われる場合は薬剤感受性試験の結果に基づいて治療を調整する。治療期間や感染対策は通常の結核と同様に管理される。
感染性患者の早期診断・早期治療、空気予防策(N95マスク・陰圧室など)、接触者健診、潜在性結核感染症(LTBI)への適切な治療が重要である。BCG接種は重症結核の予防に有効とされ、結核流行地域では重要な公衆衛生対策となる。
Mycobacterium africanumはMycobacterium tuberculosis complex(MTBC)に属する結核菌群であり、西アフリカに多いことが最大の特徴である。感染経路、病態、感染対策、治療はMycobacterium tuberculosisとほぼ同じである。抗酸菌塗抹や通常の培養だけでは菌種を区別できず、分子生物学的検査による同定が必要となる。国家試験・CBTでは『西アフリカに多い結核菌群』『空気感染』『ヒトがリザーバー』『標準抗結核薬4剤併用療法』『BCG・LTBI対策』を関連付けて理解しておくことが重要である。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。