水環境に生息する迅速発育抗酸菌で、注射・美容処置・手術後の皮膚軟部組織感染、角膜炎、カテーテル感染を起こす。免疫抑制患者では多発性皮膚病変を伴う播種性感染に注意する。
Mycobacterium chelonae
細菌
Gram染色では染色不良またはビーズ状のグラム陽性桿菌としてみえ、抗酸染色で抗酸性を示す。
M. chelonae-M. abscessus群に近縁する独立菌種である。M. abscessusのような機能性erm(41)による誘導耐性は通常みられないが、獲得性マクロライド耐性は起こりうる。
非運動性、非芽胞形成性、偏性好気性の迅速発育抗酸菌で、約30〜32°Cで良好に発育する。通常は非光発色性である。
水道水、土壌、塵埃、医療施設の水系、汚染された医療機器や薬液。
汚染水が創部へ接触するほか、注射、鍼治療、刺青、美容処置、眼科処置、手術、カテーテルを介して侵入する。通常はヒトからヒトへ伝播しない。
脂質性細胞壁、マクロファージ内生存能、バイオフィルム形成、医療器具表面への付着が持続感染に関与する。
局所性または播種性の皮膚結節・膿瘍、蜂窩織炎、カテーテル関連血流感染、術後感染、角膜炎、眼内炎、骨関節感染、まれに肺感染を起こす。
病変組織、膿、血液、角膜掻爬物を抗酸菌培養し、遺伝子解析またはMALDI-TOFでM. abscessusと区別する。迅速発育菌用の薬剤感受性検査を行い、表面スワブだけでなく深部検体を採取する。
限局性皮膚感染ではクラリスロマイシンまたはアジスロマイシンを軸に、重症度と感受性に応じてトブラマイシン、リネゾリド、イミペネム、クロファジミンなどを組み合わせる。播種性・眼感染・人工物感染では多剤併用、デバイス除去、外科的処置を行う。([ナショナルセンターバイオテクノロジー情報][2])
注射・刺青・美容処置では滅菌器具と無菌水を使用し、水道水を医療材料の希釈や創洗浄に用いない。医療施設では水系設備、内視鏡、眼科器具などの洗浄消毒を適切に管理する。
迅速発育抗酸菌で、免疫抑制患者の多発性皮膚結節や美容・注射処置後の難治性膿瘍で疑う。M. abscessusよりトブラマイシン感受性が高い傾向があり、機能性erm(41)は通常もたない。菌種同定と感受性検査に基づく長期多剤治療が必要となる。
医学部生・医療系学生による編集チーム。CBT・国家試験対策・学習効率化に関する実体験と医学教育知見に基づいた情報を発信。
都内私立大学医学部卒業。現在は都内基幹病院にて初期研修中。学生時代はCBT・国試対策に注力し、学習法に関する情報発信にも関心を持つ。