定義
変時作用は心拍数、変伝導作用は興奮伝導速度、とくに房室結節伝導、変力作用は心筋収縮力、変弛緩作用は心筋の弛緩速度に対する作用を指す。交感神経のβ₁受容体刺激は通常、四つの作用を正方向へ動かす。副交感神経のM₂受容体刺激は洞結節と房室結節を中心に、心拍数低下と房室伝導抑制を起こす。作用部位と細胞内経路が異なるため、四つを分けて評価する必要がある。
イメージ
心臓の調節を一つの『強くする・弱くする』つまみで考えず、拍動の速さ、電気信号を伝える速さ、押し出す力、元へ戻る速さという四つのつまみに分ける。運動時には、速く拍動し、信号を伝えやすくし、強く収縮し、素早く弛緩する必要がある。
仕組み
洞結節ではβ₁受容体–Gs–cAMP経路がHCNチャネルのIf電流を直接増やし、PKAを介してCa²⁺チャネルと細胞内Ca²⁺時計を調節することで第4相脱分極を速める。房室結節ではL型Ca²⁺電流の増加と不応期短縮により伝導が促進される。心室筋ではL型Ca²⁺チャネル、リアノジン受容体2、トロポニンI、ホスホランバンのリン酸化により、Ca²⁺放出、架橋形成、SERCA2aによる再取り込みが増え、収縮力と弛緩速度が上がる。M₂受容体はGiを介してcAMPを減らし、Gタンパク質βγサブユニットがGIRK K⁺チャネルを開いて結節細胞を過分極させる。副交感神経の心室筋への直接作用は心房・結節より弱い。
例
運動時の交感神経活性化は心拍数と収縮力を上げるだけでなく、弛緩も速めるため、短くなった拡張期でも心室充満を保ちやすくする。迷走神経刺激は洞結節を遅くし、房室結節の不応期を延長するため、上室性頻拍の房室伝導へ影響する。