定義
中枢パターン生成器は、相互結合した興奮性・抑制性ニューロン群が、内在性膜特性と回路内相互作用によって反復運動の時系列を作る神経回路である。呼吸、歩行、咀嚼、嚥下などの基本パターンを自動的に生成し、感覚入力や上位中枢からの指令によって開始、停止、速度、位相、筋群への出力配分が修正される。
イメージ
歩行や呼吸の一動作ごとに大脳が個別命令を作るのではなく、脊髄や脳幹に基本の拍子を作る回路があると考える。上位中枢は目的と速さを指定し、感覚入力は地面の状態や肺の膨らみに合わせて拍子を微調整する。
仕組み
代表的な回路模型では、互いに抑制し合う二つのニューロン群が、屈筋相と伸筋相、吸息相と呼息相を交互に作る。持続性Na⁺電流、Ca²⁺依存性電流、発火順応、抑制解除後の反跳性発火などの膜特性が周期的な群発発火を支える。交連介在ニューロンは左右の協調を、固有脊髄路は複数髄節間の協調を担う。呼吸では延髄のプレベッツィンガー複合体を含む回路が吸息リズム形成に重要であり、化学受容器、肺伸展受容器、行動性入力が出力を変える。歩行では脊髄回路が基本的な左右交互運動を作り、固有感覚入力が荷重と運動相を調整する。
例
脊髄や脳幹を用いた実験では、上位中枢や末梢感覚入力が乏しい条件でもリズミカルな運動出力が現れ、中枢パターン生成器の存在が示される。日常の歩行では段差や速度変化に応じて感覚入力が周期を修正し、呼吸は自動的に続きながら発話や嚥下の際には一時的に再構成される。