定義
脳灌流圧は脳血管床を通る血流の駆動圧であり、通常はCPP = MAP − ICP、すなわち平均動脈圧から頭蓋内圧を引いた値で近似する。中心静脈圧や局所静脈圧が頭蓋内圧より高い場合には、下流圧としてより高い圧を考慮する必要がある。脳灌流圧は脳血流そのものではなく、血管抵抗と脳血流自動調節を介して脳血流へ影響する指標である。
イメージ
脳へ血液を押し込む入口側の圧から、頭蓋内で流出を妨げる背圧を引いたものと考える。同じ血圧でも頭蓋内圧が高ければ、脳へ血液を流す実効的な力は小さくなる。
仕組み
脳血流は概念的に、脳灌流圧を脳血管抵抗で割った値として表される。平均動脈圧低下または頭蓋内圧上昇によって脳灌流圧が低下すると、正常な自動調節範囲では抵抗血管が拡張して脳血流を保とうとする。自動調節限界を超える、または脳損傷で血管反応性が障害されると、脳血流は脳灌流圧に強く依存し、虚血または過灌流の危険が増える。PaCO₂、PaO₂、麻酔薬、体温、代謝需要は脳血管抵抗を変えるため、同じ脳灌流圧でも実際の脳血流と酸素供給は異なる。
例
頭蓋内血腫では平均動脈圧が保たれていても、頭蓋内圧上昇により脳灌流圧が低下する。逆に全身性低血圧では頭蓋内圧が正常でも脳灌流圧が下がる。過換気でPaCO₂を下げると頭蓋内圧は一時的に低下し得るが、脳血管収縮によって脳血流も減るため、脳灌流圧だけでは組織酸素化を保証できない。