定義
脳脊髄液は、主に脈絡叢上皮が血漿から能動分泌して作る透明な液体である。側脳室から第三脳室、第四脳室を経て脳・脊髄のくも膜下腔へ流れ、中枢神経を浮かせる浮力、機械的保護、細胞外環境の維持、代謝物の移送に寄与する。吸収にはくも膜顆粒から硬膜静脈洞へ向かう経路に加え、脳神経周囲や髄膜リンパ管を介する経路も関与する。
イメージ
中枢神経を液体の中へ浮かせる緩衝液が、限られた頭蓋内を循環しながら絶えず入れ替わると考える。流路が塞がる、吸収が低下する、静脈側の圧が上がると、液体がたまり脳室拡大や頭蓋内圧上昇につながる。
仕組み
脈絡叢上皮ではNa⁺/K⁺-ATPアーゼ、炭酸脱水酵素、各種共輸送体がイオン勾配を作り、水がアクアポリンなどを介して脳室内へ移動する。脳脊髄液は側脳室からMonro孔、第三脳室、中脳水道、第四脳室へ進み、Magendie孔とLuschka孔を通ってくも膜下腔へ出る。心拍、呼吸、体動に伴う拍動と液体の移動が循環を助ける。くも膜顆粒では脳脊髄液圧が静脈圧を上回ると静脈洞側へ吸収され、神経周囲経路と髄膜リンパ管も排出に寄与する。産生速度、流路抵抗、吸収抵抗、静脈圧の組合せが脳脊髄液量と圧を決める。
例
中脳水道狭窄では、閉塞より上流の側脳室と第三脳室が拡大する閉塞性水頭症が生じる。くも膜下出血や髄膜炎後には、くも膜顆粒での吸収障害により交通性水頭症が起こり得る。静脈洞圧の上昇も吸収の圧較差を小さくし、脳脊髄液圧を上げる。